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バイオファウンドリ拠点でスケールアップ検討期間を従来の6分の1に短縮材料技術

新エネルギー・産業技術総合開発機構は、千葉県茂原市に設立した「関東圏バイオファウンドリ拠点」において、バイオ生産のスケールアップ検討期間を従来の約6分の1に短縮したと発表した。

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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2024年6月3日、千葉県茂原市に設立した「関東圏バイオファウンドリ拠点」において、バイオ生産のスケールアップ検討期間を従来の約6分の1に短縮したと発表した。NEDOの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」の一環として、Green Earth Institute(GEI)と共同で検証した。

 同拠点は、両者がバイオ生産実証を推進する場として2021年度から建設を進め、これまでに前処理や培養、分析、精製設備を導入してきた。2023年6月には新たな設備が本格稼働し、事業終了の2026年度まで微生物機能を使った物質生産実証に取り組んでいる。

 0.25〜3000Lの発酵槽を活用したスケールアップ検討が可能で、実験計画法の知見や発酵槽内の状況をシミュレーションする数値流体力学解析(CFD)解析などを用いて、スケールダウンモデルでの生産システム、新たな前処理方法、CO2排出量を計算するシステムの技術開発を進めている。これらの技術を実証事例として採用する案件に適用し、スケールアップを実施する。

スケールダウンモデルとCFD解析を用いた生産システムの概念図
スケールダウンモデルとCFD解析を用いた生産システムの概念図[クリックで拡大] 出所:新エネルギー・産業技術総合開発機構

 2023年度は、4件のスケールアップ検討を実施。同拠点が有するスケールダウンモデルとCFD解析などを用いた生産システムにより、3年程度かかるとされていた検討期間を半年程度で完了させた事例もあった。これまでに、微生物では大腸菌、酵母、生産対象物質ではアミノ酸、ペプチド、油脂、酵素、原料分類では糖類、アミノ酸、グルコース、木質系バイオマスで実証実績がある。

 今後は、バイオマス残渣などで発酵用の原料を製造する前処理から精製、サンプル作成まで、一連の生産プロセスからニーズに対応したメニューを提供できるよう、機能拡張していく。また、実証実績のある大腸菌や酵母の他、糸状菌などの微生物種の取り扱いや、さまざまな生産物質での実証経験を重ねていく計画だ。

 なお、2025年度の実証スケジュールを策定するため、バイオ生産実証試験の希望者を対象に実証案件を募集。締め切りは2024年6月30日までとなる。

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