エネルギー密度100倍の全固体電池の材料開発に成功、高い熱安定性も有す:材料技術
TDKは、充放電可能なオールセラミック固体電池である「CeraCharge」の次世代品として、従来品と比べて約100倍のエネルギー密度1000Wh/Lを持つ全固体電池用の材料開発に成功した。
TDKは2024年6月17日、充放電可能なオールセラミック固体電池である「CeraCharge」の次世代品として、従来品と比べて約100倍のエネルギー密度1000Wh/Lを持つ全固体電池用の材料開発に成功したと発表した。
新しい全固体電池の素材は、従来品と比較すると約100倍の高いエネルギー密度を備え、ワイヤレスイヤホンや補聴器、さらにスマートウォッチなどの各種ウエアラブルデバイスの電池の他、既存のコイン電池を代替する製品を目指して同社は開発を進めていく。
酸化物固体電解質とリチウム合金負極の採用により高いエネルギー密度を実現
同社は、長年培ってきた材料開発技術を活用するとともに、酸化物固体電解質とリチウム合金負極の採用により、現在量産中の全固体電池であるCeraChargeよりも高いエネルギー密度を備えた新たな全固体電池のための材料設計開発に成功した。酸化物固体電解質を採用しているため、既存の製品に比べて熱安定性が高いことから、身体に直接触れるウエアラブルデバイスなどでの使用を想定している。
また、EU(欧州連合)の電池規則に伴い一次電池から二次電池への置き換えが必要とされるコイン型一次電池を代替し、環境負荷低減に貢献することも見込んでいる。
今後は、新製品となる全固体電池の開発に向け、電池セル、パッケージの構造設計の開発を進め量産化を推進する。さらに、同社が電子部品事業で蓄積した生産技術を適用し、積層/多層化による容量のさらなる拡大、動作温度範囲の拡大を展開していく。
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