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ISSと地上局の光通信装置にファインセラミックス製のミラーが採用:組み込み開発ニュース
京セラの開発したファインコージライトミラーが、国際宇宙ステーションと可搬型光地上局間で光通信する小型光通信実験装置に採用された。
京セラは2024年6月5日、同社が開発したファインコージライトミラーが、国際宇宙ステーション(ISS)と可搬型光地上局間で光通信する小型光通信実験装置に採用されたと発表した。ISSに設置する小型光通信実験装置では、コージライト製ミラーの採用は世界初だという。
ファインコージライトミラーは、ソニーコンピュータサイエンス研究所が開発した光通信アンテナ「QSOL」に採用された。QSOLは、低軌道高秘匿光通信装置「SeCRETS」に使用し、ミラーは光通信における光の角度調整に使用する。ファインセラミックスの材料や焼成技術を用いたミラーは、低熱膨張性、高機械強度、高剛性、長期寸法安定性、耐放射線性を備える。そのため過酷な宇宙環境でも高精度を保ち、安定した光通信が可能となる。
2023年8月2日にISSへ向けてSeCRETSを打ち上げており、日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームに設置している。ISSから地上局への10GHzクロックの光通信により秘密鍵を共有し、その鍵を用いたワンタイムパッド暗号による安全な通信の実証に成功した。将来的には衛星量子暗号通信の実用化が期待できる。
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