出荷前製品の数をAIが自動算出 物流現場の作業時間を約30%減らすソリューション:物流のスマート化
両備システムズは、トラックなどによる荷待ち時間の削減に貢献するAI画像ソリューションの提供を開始する。
両備システムズは2024年6月10日、トラックなどによる荷待ち時間の削減に貢献するAI(人工知能)画像ソリューションを提供開始すると発表した。荷待ちや荷役、出荷確認などにかかる平均作業時間を約31%削減する効果を見込む。
3種類のシステム、ツールを組み合わせて提供
今回のバース入退場管理システム「R-Teams」と駐車場管理システム「IT-Parking」、AIによるカウントツール「CountShot」など3種類のサービスを組み合わせたものだ。この内、CountShotは2024年6月から新たにサービス提供するものとなる。
R-TeamsはIoT(モノのインターネット)やAIにおける画像解析技術などを活用することで、バースでの入出荷業務全体の可視化、省人化を実現するシステムだ。IPカメラやセンサーなどを用いて、バースにおけるトラックの入退場を判定、監視する。基幹業務や自動倉庫などの他システムとの接続を実現するインタフェースも用意しており、連携させることもできる。
誘導指示を出すオペレーションマネジャーはバースの利用状況や荷役業務の進捗状況を確認しつつ、待機場にいるドライバーにスマ−トフォン経由で適宜ショートメールや音声通知などで指示を出せる。
IT-ParkingはIPカメラ、もしくは既設のカメラなどで撮影した画像を基に、AIが駐車場の在車判定を行い、利用状況の把握や管理者の業務支援につなげる。収集した画像データは、駐車場の管理者による防犯目的での監視や記録などにも利用できる。
場内のレイアウト変更に対しても、幾つかの設定変更だけで利用できるようになるため、柔軟性が高い。クラウドサービスとして提供するため、複数駐車場の一元管理が可能だ。屋内外両方の撮影に対応できる。2024年6月時点で14施設がIT-Parkingを導入している。
CountShotは製品出荷時の製品のカウント作業をAIによって省力化するツールだ。スマートフォンで出荷タグのラベルを読み取った上で、荷物の画像を撮影すると、ラベル情報と製品の点数や本数が自動算出、入力される。これらの情報を出荷証明書として利用できるようにする仕組みもある。
撮影した画像は製品周辺にある物体の映り込みによるAIを用いたカウントへの影響を防ぐため、さまざまな形状でトリミングできるようにしている。AIの算定結果が誤っていた場合、管理画面上で手作業で修正することもできる。
現時点ではCountShotは鉄筋やそれに形状の近い鉄鋼製品にのみ対応する。今後、判定対象物のバリエーションを増やす取り組みを進める。
製品開発の背景について、両備システムズ 移動体ソリューショングループ エキスパートの木本一機氏は「きっかけはR-Teamsのユーザーからの相談だった。鉄鋼業界では、商慣習としてバルク単位だけでなく顧客のリクエストに合わせて必要本数を適宜ピッキングするようになっている。そのため、出荷前の本数確認作業に時間がとられることも多かった。また、顧客から本数が不足しているとクレームが入っても、確認作業が人手で行われていたためエビデンスが乏しいという問題があった」と説明する。
今回のAI画像ソリューションの想定導入効果については、R-TeamsとCountShotなどを導入した場合の理論値での削減効果を紹介した。導入前の平均荷待ち時間を105分、出荷前確認時間を15分とすると、導入後は平均荷待ち時間を約70分に、平均出荷前確認時間を約2.5分に削減可能だと想定する。平均での荷待ち時間と荷役時間、出荷確認時間を全て合わせると、導入後には全体で約31%の作業時間を削減できる計算だ。
顧客の要望次第では、各システム、ツールのAPIなどを通じたデータ連携なども相談可能だという。今後の目標としては、2026年度までにR-Teamsは15施設、IT-Parkingは30施設、Countshotは25施設での導入をそれぞれ目指す。
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