半導体物流の2024年問題を解決へ、コアスタッフは「調達と物流のTSMC」を目指す:物流のスマート化(1/2 ページ)
コアスタッフは、2024年秋に稼働予定の新物流センター(長野県佐久市)の建設状況や、半導体業界における物流2024年問題、新物流センターを活用した物流2024年問題に対応する同社の新サービスについて説明した。
コアスタッフは2024年1月16日、東京都内で会見を開き、同年秋に稼働予定の新物流センター(長野県佐久市)の建設状況や、半導体業界における物流2024年問題、新物流センターを活用した物流2024年問題に対応する同社の新サービスについて説明した。
同社 代表取締役社長の戸澤正紀氏は、会見の冒頭、「半導体業界にとって苦しい1年だった2023年が終わり、2024年を迎えてこれからというタイミングで能登半島地震が発生し、製品供給を含めてまた不透明な状況になっている」と語る。コアスタッフと取引があるサンケン電気、東芝、村田製作所の工場が被災しており、これらのメーカーの在庫が急速に減りつつあるなど影響が出ているという。
独立系のオンライン半導体商社であるコアスタッフにとって、地震などの災害、コロナ禍によって起きた半導体需要の急激な上昇や低下に代表されるシリコンサイクルに対応するためにも、在庫を豊富に補完できる物流センターの拡充は事業拡大に向けて重要な取り組みとなる。戸澤氏は「天災による製品の入手困難、シリコンサイクルによる余剰在庫の発生に加えて、少子高齢化で倉庫スタッフが不足し、物流2024年問題を迎える中で物流コストの上昇と配送納期の長期化も課題になっている」と説明する。
特に、半導体製品の調達、物流という観点では、人とスペースの不足への対応、配送手段の確保が鍵になる。中でも「スペースの不足」については大きな課題になっており、「物流網を構築する上で各地域の拠点となるディストリビューションセンターを置くニーズが高まっているが、配置する場所がなくなり始めている」(戸澤氏)という。
コアスタッフは、このような物流2024年問題に対して、顧客の荷物をあらかじめ1カ所に集めて発送元を一つにすることで、人とスペースの不足に対応するとともに、配送手段の確保も容易にする物流受託サービス「LOS(Logistics Outsourcing Service)」を展開して行く方針である。建設中の新物流センターはこのLOSを提供する中核拠点となる。
同社はこれまでも、同社の中核顧客である中堅中小製造業向けに購買業務代行サービス「POS(Procurement Outsourcing Service)」を展開している。1社の中堅中小製造業では購買力が限られてしまい半導体や電子部品のメーカーに対して価格交渉や安定調達をすることは難しい。POSによって複数社の顧客の購買をコアスタッフにまとめることで、一定の購買力を確保して価格交渉や安定調達が可能になる。
LOSは、購買業務一式を請け負うPOSのサービスを、保管/物流業務一式に広げるものだ。さらには、購買から保管/物流まで一気通貫で業務を請け負う「PLOS(Procurement & Logistics Outsourcing Service)」の提供も視野に入れている。戸澤氏は「半導体産業において、製造を請け負うファウンドリーとして台湾のTSMCが広く知られているが、コアスタッフは半導体/電子部品業界における調達と物流のTSMCになりたいと考えている。物流2024年問題をきっかけに、これらの業務を外部委託する顧客も増えてくるだろう」と強調する。
コアスタッフは、新物流センター開設を記念して、物流受託サービスであるLOSの在庫保管費用を1年間無料にするキャンペーンを行う。「第38回 ネプコン ジャパン」(2024年1月24〜26日、東京ビッグサイト)の同社ブースにおいて、先着10社でキャンペーンの申し込み受付を開始する。なお、保管費の無償在庫の上限は月間100万円、無償期間を含めてLOSのサービスの3年継続利用が前提となっている。
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