検索
連載

フローで考える熱のモデリング(その2) 〜熱コンダクタンスの定義と導出方法〜1Dモデリングの勘所(32)(5/5 ページ)

「1Dモデリング」に関する連載。連載第32回では「フローで考える熱のモデリング(その2)」と題し、熱コンダクタンスの定義とその導出方法について取り上げる。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

放射伝達

 黒体平板の場合、放射伝熱による熱移動量は次式で定義される。

式44
式44

 F12は形態係数で、図10右図に示す2平行平板の場合は、

式45
式45[クリックで拡大]

で定義される(参考文献[3])。X=a/c、Y=b/cである。

放射伝熱(黒体の場合)
図10 放射伝熱(黒体の場合)[クリックで拡大]

 今、a=b=c=0.1[m]、T1=80[℃]、T2=15[℃]とすると、

model radiation
 Real G;
 parameter Real A=0.01;
 parameter Real sig=5.67e-8;
 parameter Real F12=0.450;
 parameter Real T1=80+273;
 parameter Real T2=15+273;
equation
G=A*sig*F12*(T1+T2)*(T1^2+T2^2);
end radiation;
リスト4

となり、これを実行してG=0.034[W/K]を得る。

 伝熱面が黒体でない場合は解析が面倒となるので、1Dモデリングの段階ではある理想的な条件で考えることが多い。すなわち、図11のように物体1が温度T2の物体に囲まれていて、A2≫A1の場合には次式で計算できる。

式46
式46

 εは「放射率」といい、物体の温度や表面状態で決まる値である。

放射伝熱(黒体でない場合)
図11 放射伝熱(黒体でない場合)[クリックで拡大]

参考文献:

  • [3]JSMEテキストシリーズ|伝熱工学 113頁(2005)



 次回は、ドライヤーを例に熱の具体的なモデリング方法と、解析結果の妥当性検証の方法などについて紹介する。 (次回へ続く

⇒連載バックナンバーはこちら

筆者プロフィール:

大富浩一(https://1dcae.jp/profile/

1Dモデリングの方法と事例(日本機械学会)

日本機械学会 設計研究会
本研究会では、“ものづくりをもっと良いものへ”を目指して、種々の活動を行っている。1Dモデリングはその活動の一つである。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る