0Dモデリングとは? 理論・経験に基づく理論式・経験則が究極の1Dモデリング!?:1Dモデリングの勘所(3)(1/3 ページ)
「1Dモデリング」に関する連載。連載第3回は、理論・経験に基づく理論式・経験則が究極の1Dモデリングであることを、0Dモデリングの定義、3Dモデリングとの関係、幾つかの事例を通して説明する。また、理論・理論式を考えるに当たって重要な“単位”に関して、なぜ単位が必要なのかその経緯も含めて紹介する。
連載第1回では、モデリングを製品開発の視点から紹介し、さまざまなモデリングが存在することを示した。そして、連載第2回では、連載第1回の議論を受けて“「1Dモデリング」とは”について考えた。
今回は、理論・経験に基づく理論式・経験則が究極の1Dモデリングであることを、「0Dモデリング」の定義、「3Dモデリング」との関係、幾つかの事例を通して説明する。また、理論・理論式を考えるに当たって重要な“単位”に関して、なぜ単位が必要なのかその経緯も含めて紹介する。
※)「ものづくり」の表記について:MONOistでは「モノづくり」で表記を統一していますが、本連載では「もの」と「モノ」の違いを重視していることから「ものづくり」としています。
0Dモデリングと3Dモデリング
0Dモデリングについて、3Dモデリングとの比較を通して説明する(図1)。
われわれを取り巻く現実世界には、実体と現象が存在する。例えば、PCという実体に関しては、その内部に電気や伝熱といった現象が存在する。現象を理論あるいは経験によって説明可能とし、理論式、経験式まで落とし込むプロセスを0Dモデリングとする。一方、実体は形状に代表されるように3Dモデリングに集約される。3Dモデリングには0Dモデリングの知見も反映されて解析評価が可能となっている。
0Dモデリングの定義とその分類例
図2に、0Dモデリングの定義とその分類例を示す。0Dモデリングとは、現実世界で起きているもろもろの現象や事象を説明可能とする一連の行為と定義する。すなわち、事実を出発点に、理論もしくは経験に基づいて、最終的には理論式・法則、経験式・経験則まで落とし込み、ものづくりの際の指針として再利用可能とする。
事実を理論的に説明できる場合には、理論の定義⇒理論式・法則⇒指標の手順を経る。事実を理論的には説明できないが経験的にはそういえるという場合は、経験を言葉で表現⇒経験式・経験則という手順をとる。
理論式・法則とはある条件の下で成立する現象間(物理量間)の関係で理論的根拠が存在し、一方の経験式・経験則はある条件の下で当てはまる現象間、事象間の関係で経験的根拠が存在する。
重要なことは、ある条件で成立する理論・経験であっても、条件が変わると成立しない場合もあるということだ。例えば、「フックの法則」は通常の構造物では成立するが、ナノレベルの構造物(半導体)では成立せず、他の理論が必要となる。
理論と理論式:電磁気学の例
理論・理論式の成立過程を「電磁気」という現象(参考文献[1])を通して説明する。
図3の左図に示すように、磁石の上に電線があり、この電線に電流を流すと、電線は図に示す方向へ動く。一方、磁石はN極からS極に向かって電線に対して上向きの磁場を与える。このとき、電流は(+)端子から(−)端子に向かって流れる。以上が図3の左図の状況を示す事実である。
これらの事実から“磁場と電流の向きに直交する方向に力が発生する”という理論が導出される。これが「フレミングの法則」といわれているものである。ここで、発生する力F、電流qv、磁束密度Bの間には、
という関係が成立する。これが理論式である。この電磁気に関する事実、理論、理論式は多くの製品の重要要素となっているモーター、発電機の動作原理の基本となっている。図3の電磁気を理解しているだけで、実際に製品開発をする際には大きな指針となる。これに関しては、後々、具体例で紹介していくことにする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.