シェア低下にあえぐパナソニックの白物家電、「引き算の商品企画」で中国勢に対抗:製造マネジメント インタビュー(3/3 ページ)
パナソニックグループで家電や空調設備、電材などの事業を展開するパナソニック CEOの品田正弘氏が報道陣による合同取材に応じた。足元で厳しい環境にある白物家電事業を中心にどのような取り組みを進めていくのかについて説明した。
日本の白物家電のモノづくりは中国に追い抜かれてしまったのか
なお、2023年12月にパナソニック くらしアプライアンス社の社長に就任した堂埜茂氏は、CNAでのキャリアで得たこのベストプラクティスを、LASだけでなくHVACのA2A事業などにも展開しており、2024年度内に発売する冷蔵庫やオーブンレンジで従来比20%の直材費削減を実現する計画である。品田氏も「2024〜2025年度にかけて仕込みを広げ、2026年度にはグローバルプラットフォーム化してダイナミックにラインアップを広げたい」と強調する。
なお、このハードウェアの価格競争力の強化でテコ入れされるのは、新販売スキームの対象となる高付加価値商品に相当する「松」の区分よりも、白物家電に対する要求が高い国内市場では中級以下クラスに相当する「竹」と、さらにコストメリットを追求した「梅」の区分になるとみられる。
ここまでの話を概観すると、日本における白物家電のモノづくりは、中国にもはや追い抜かれてしまった印象も受ける。品田氏は「モノづくりと一言で言っても、生産だけでなく商品企画も含まれていると考えている。現在取り組んでいるハードウェアの価格競争力の強化は商品企画が中心になる。中国メーカーは、単純に部品や製造コストを削減するのではなく、いいと思ってもらえるポイントをとがらせ削ぎ上げる商品企画力が優れており、これによってコストも削減している。一方、日本市場では、顧客のさまざまな意見を取り込むことで全体としてはいい出来だが、特徴のはっきりしない商品になっている。今後は、ターゲットユーザーに合わせて割り切った商品企画をすることが重要だ。2023年発売でヒット商品になった、手のひらサイズシェーバ『パームイン』や、パーソナルタイプ食器洗い乾燥機『SOLOTA』は、高度な機能を備えているわけではないが『あなたに買ってもらいたい』という訴求力に優れている。このような“引き算の商品企画”をもっとやっていかなければならないし、そのためにはシンプルなプラットフォームでのモノづくりが必要になる」と述べる。
実際に、洗濯機を生産する静岡工場(静岡県袋井市)や冷蔵庫を生産する草津工場(滋賀県草津市)など国内工場への投資も進めており、国内でのモノづくりに対する打ち手を緩めるわけではなそうだ。
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