パナソニック コネクトが進める事業の選択と集中 ブルーヨンダーは変革準備整う:製造マネジメントニュース(4/4 ページ)
パナソニックグループは事業戦略説明会を開催した。ここではパナソニック コネクトの説明パートを抜粋して紹介する。
One Network買収後のシナジーは3つ想定
また、One Networkの買収完了後にBlue Yonderとの間で生まれるシナジーについては、主に3つを想定している。1つ目は、Blue Yonderの既存顧客が参加してOne Networkのネットワーク規模が拡大することで、ネットワークフィーの向上が期待できる点だ。E2Eで大量のデータを活用することで、Blue YonderのAIの予測精度が向上する効果も期待できる。
2つ目はOne Networkのソリューションを、Blue Yonderの既存顧客へと拡販していくことだ。そして3つ目は中期的な目標となるが、One Networkが展開する中小規模顧客向けのソリューションを通じて、Blue Yonderが同規模の顧客を新規で獲得できることが見込める点だ。
Blue Yonderはパナソニック コネクトが買収した2021年時点から、SaaS事業のARR(年間経常収益)は6億7000万ドル(約1042億円)と約1.5倍、前受収益は3億1000万ドルと約1.8倍、追加戦略/シナジー投資調整後のスタンドアローン調整後営業利益は8200万ドルと約2倍になった。パナソニック コネクトはこれについて、「事業で稼いだキャッシュを、戦略投資に回すことで事業を拡大させていく仕組みが整いつつある」(同社より)と表現した。
Blue Yonder以外の事業についても中長期戦略の説明を行った。アビオニクス事業については、コロナ禍を経て航空機上でもエンタメサービスに対するニーズの高度化や多様化が生じており、機内エンタメ通信需要の拡大が続いているとした。これを成長機会と目して、機内エンタメシステム「Astrova」などの次世代の製品ポートフォリオの拡充や、高効率なビジネスモデルの確立に努めるとしている。残りの4事業については、中国の市況低迷の影響を受けて大幅な利益減となったプロセスオートメーション事業以外は、増益を継続する見込みだ。
なお、今回のパナソニック コネクトの説明会では、人工音声を用いた発表が行われた。この理由について、パナソニック コネクト プレジデント・CEO 樋口泰行氏は「(規定の時間内に発表を終えるという)タイムマネジメントの観点で採用した」と説明した。
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