村田製作所は2024年6月4日、Wi-Fiを利用した車内置き去り検知装置の運用を開始したと発表した。導入したのは、実用化に向けて実証実験に協力してきた滋賀県野洲市だ。同月3日から野洲市通園バスで運用している。
村田製作所は、車内に取り残された幼児が死亡する事故の発生を受けて、通信分野の知見を生かしたソリューションの開発を進めてきた。部品のみの開発ではなく、システムとしての開発に取り組んだ。
導入された車内置き去り検知装置はWi-Fiの電波を利用して幼児の微細な動きを検出する。電波の反射を利用するため、毛布で覆われていたり、床で寝ていたりするような目視確認が難しい状態でも検出できる。通園バスのエンジンがオフになった後に検知を開始し、車内の幼児置き去りを検知すると通園バスに設置した警報機が作動する。幼稚園のスマートフォン端末にも通知が入る。
野洲市との実証実験は、2022年12月から実施してきた。Wi-Fiを使った車内置き去り検知装置の運用は「国内初」(村田製作所)だという。
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