生産性を1.2倍へ、パナソニック冷蔵庫のグローバルマザー工場のモノづくり力:メイドインジャパンの現場力(3/3 ページ)
パナソニックは、冷蔵庫事業の説明を行うとともに、マザー工場である草津工場の冷蔵庫のモノづくりに関する取り組みについて紹介した。
製造工程における検査で高品質を確保
高品質を確保するために強化しているのが、製造工程内の検査と最終製品の審査だ。基本的には生産している全台数の性能検査と品質検査を実施している。例えば、冷却性能などに大きな影響を与えるロウ付け工程は専門の技術者の教育を充実させている他、全数でガス漏れがないかガスリーク検査を行っている。
ドア付け工程では、ドアの開閉時にドアが外れたら危険であるため作業品質の自動記録を推進。ねじ締め機などの情報を収集し、ビス締めの本数や締め付け強度などを監視し品質を確保している。
完成品の製品審査についても、20項目で操作性や安全性などをチェックしている。各種数値的な試験の他、各ドアの開閉具合や、製品の質感など定性的な項目などもチェックを行っている。
耐久試験や恒温試験などさまざまな試験設備を用意
製品の高品質や高品位の実現を根拠のある形で進めるために、さまざまな試験設備を充実させていることも草津工場の特徴だ。ドアの開閉耐久試験を自動で行う設備などを用意する他、恒温耐久室も27室を用意。5℃など冬の寒い季節を想定した温度や、35℃で湿度80%などの夏の高温多湿環境を想定した温度で冷却性能などを確認する試験を行っている。
また、変わった試験としては、冷蔵庫のガラスドアの耐久性を確認するために、ビール瓶をぶつける試験なども行っている。「家庭でふいに何かをぶつけた時などを想定した試験として、ビール瓶が最適な条件だと想定して独自で試験している」(パナソニック)。これらのさまざまな品質検査により、設計品質や製造品質を適宜確認しながら、高品質や高品位を確保し、冷蔵庫市場での競争力を強化していく。
今後はさらに生産性を高めるために設備投資を進めていく計画だ。パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗器ビジネスユニット 冷蔵庫工場 工場長の浜端孝行氏は「歴史のある工場であるため大量生産時代の設備がそのまま残っているところが多くある。その中で工夫をしながら柔軟性を持った形での自動化を進めてきたが、今後は多品種少量生産に合わせるためにセル生産方式への切り替えなども進めていく」と今後の計画を述べている。
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