新型冷蔵庫は整理整頓の促進で省エネ貢献、三菱電機 静岡製作所のモノづくり:メイドインジャパンの現場力(1/2 ページ)
三菱電機では静岡製作所において報道陣に冷蔵庫の新製品を発表するとともに、静岡製作所の冷蔵庫の生産ラインを公開した。
三菱電機では2024年1月11日、同社 静岡製作所(静岡県静岡市)において報道陣に冷蔵庫の新製品を発表するとともに、静岡製作所の冷蔵庫の生産ラインを公開した。
一部建屋は戦時中に建設、年間35万台の冷蔵庫が生産可能
静岡製作所はもともと第2次大戦中に三菱重工業の疎開工場として開設された。その後、1954年に三菱電機の静岡製作所として正式に設立され、エアコンと冷蔵庫の生産を開始した。今でも戦時中に建てられた建屋の窓が海側の方角を向いていないのは、海側から飛んでくる戦闘機などに窓の反射で工場があることを知られないようにするためだったという。
静岡製作所には約2100人が勤務し、開発などを含めるとその3分の1ほどが冷蔵庫の製造に携わっている。冷蔵庫は1日に約1600台、年間で約35万台の生産が可能となっている。タイでも生産を行っているが、容量が400l(リットル)以上かつ5ドア以上の冷蔵庫を静岡製作所で製造している。
冷蔵庫は主に、筐体にあたる外箱と内箱の他、扉、真空断熱材、冷却器やコンプレッサーなどの部品で構成されている。工場では総合組み立てラインを中心に、さまざまな部品生産ラインが連動。前半の工程では単一機種を効率的に生産するための小ロット生産方式、後半の工程では必要な機種を必要な台数、必要なタイミングで生産するため、1本のコンベヤーに異なった機種、カラーの冷蔵庫を順番に流すミックス生産方式を採用している。
工場ではまず外箱の生産工程を紹介した。入荷時にコイル状に丸められていた鋼板はレベラーでゆがみを取り、外箱の規定寸法に切断する。4t(トン)のコイル1個からは冷蔵庫400台分の外箱の材料が切り出されるという。
プレス機で穴あけや切り欠き加工を行うと、内箱をセットする際に必要になる溝をロールフォーミング加工機で成形する。その後、銅パイプをアルミテープで固定し、別の建屋で製造された真空断熱材を取り付ける。これまで平らだった鋼板を機械でU字に折り曲げ、冷蔵庫の外箱が完成となる。
別のラインで作られた内箱を外箱にセットし、底にあたるボトム板やコンプレッサーを載せるプレートを付けて冷蔵庫の形にする。機種判別用のバーコードを貼ると、いったん格納庫に収納される。ここまでが小ロット生産方式となっている。
収納された外箱は生産計画に応じて随時、総合組み立てラインに流される。まず、ポリオールとイソシアネートの2種類の原液を混ぜて生成したウレタンを充填(じゅうてん)、発泡させて断熱性や強度を向上させる。原液の混合比率は当日の気温や湿度なども考慮して管理しているという。
長さ約100mの総合組み立てラインでは、最大8機種を混合して組み立てを行っている。キット生産方式となっており、1台分の部品が全て入ったハンガーと冷蔵庫が対になってラインを流れ、その間に作業者がハンガーから部品を取り出し、組み付けていく。1工程あたり、小さな部品であれば3〜4つ、大きな部品であれば1つ取り付ける。ハンガーにもバーコードが貼られており、機種を間違えないようになっている。
冷蔵庫自体は人の背丈ほどの高さがあり、部品の取り付け位置にも高低差が生じる。そのため、高い位置の部品の取り付けを行う箇所は足元を高くし、低い位置の取り付けは足元を低くするなど作業者の負担軽減も図っている。
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