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中国の苦戦、認証不正、北米の好調……2023年度の新車生産を振り返る自動車メーカー生産動向(4/4 ページ)

長らく続いた半導体の供給不足の緩和や北米を中心とした旺盛な需要などにより自動車生産の回復が続いている。日系乗用車メーカー8社の2023年度の世界生産合計は、2年連続で前年度実績を上回った。

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三菱自動車

 認証不正のダイハツ以外で、唯一前年割れとなったのが三菱自だ。2023年度のグローバル生産台数は、前年度比0.9%減の101万353台と2年連続で前年実績を下回った。海外生産が低迷し、同9.1%減の51万856台と2年連続の減少。8社の海外生産では最も落ち幅が大きかった。

 主力拠点のタイは前年度比1.9%増とプラスを確保したものの、インドネシアが同8.9%減と減少した。さらに2023年3月から生産を停止し、10月に車両生産と販売から撤退を表明した中国事業の生産台数がゼロとなり大きく足を引っ張った。その結果、アジアトータルでは同8.3%減となった。

 海外と比較すると国内生産は堅調で、前年度比9.2%増の49万9497台と3年連続で増加した。半導体の供給改善に加えて、北米向け「アウトランダー」の好調や、軽自動車の新型車「デリカミニ」がヒット。デリカミニは2023年5月25日の発売ながら、三菱自の2023年度国内販売のうち3分の1以上を占めるなど、国内生産に大きく貢献した。

 3月単月のグローバル生産は、前年同月比16.6%減の8万4057台と2カ月連続のマイナスだった。このうち海外生産は、同17.0%減の4万3216台と2カ月連続のマイナス。タイは同0.4%増と微増だったが、高金利やインフレで経済低迷が顕著なインドネシアは同54.7%減と半減した。加えて撤退を決めた中国が実績を押し下げ、アジアトータルでは同18.5%減だった。

 国内生産も伸び悩み、前年同月比16.2%減の4万841台と3カ月ぶりに減少した。人気のデリカミニは三菱自の3月の国内販売のうち4割を超えるなど好調な販売が続いているものの、「アウトランダーPHEV」は前年3月から半減、軽EVの「eKクロスEV」に至っては同8割減と厳しい状況だ。輸出も同2.5%減と減少した。

スバル

 2023年度の世界生産で、8社の中で最も伸長したのがスバルだ。前年度比10.9%増の96万9535台と2年連続で前年実績を上回った。前年に比べて半導体不足が緩和したことが要因だ。ただ、コロナ禍前の2019年度との比較では6.0%減にとどまっている。主要市場の米国での受注が好調で、供給台数の増加で海外販売も5年ぶりにプラスとなった。特に唯一の海外拠点である米国生産が同23.0%増の36万7673台と大きな伸びを見せ、2年連続で増加した。

 米国の需要を受けて国内生産も好調だったが、2024年2月13日に群馬製作所矢島工場(群馬県太田市)で男性社員が崩れた金型に挟まれて死亡する事故が発生。これを受けて群馬製作所3拠点全ての稼働を同月25日まで停止した。その結果、年度トータルでは前年度比4.7%増の60万1862台となり、2年連続のプラスだった。

 死亡事故の影響は足元でも続いている。3月単月のグローバル生産台数は、前年同月比15.1%減の7万7122台と2カ月連続のマイナスだった。特に国内生産が同22.2%減の4万2328台と落ち込み、2カ月連続の減少。死亡事故を踏まえて3月も一定期間、群馬製作所の操業スピードを落としたことが響いた。海外生産も同4.5%減の3万4794台と減少し、14カ月ぶりの前年割れとなった。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

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