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日系乗用車メーカーの2022年度上期の生産、回復が軌道に自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)

自動車生産が回復している。日系乗用車メーカー8社合計の2022年度上期(4〜9月)の世界生産を見ると、5月まで前年実績割れが続いていたものの、中国のロックダウン解除などに合わせて6月には4カ月ぶりにプラスへ転じ、月を追うごとに回復ペースが高まっている。その結果、8社合計の2022年度上期の世界生産は、前年同期比8.2%増の1176万1838台と2年連続で前年実績を上回った。

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 自動車生産が回復している。日系乗用車メーカー8社合計の2022年度上期(4〜9月)の世界生産を見ると、5月まで前年実績割れが続いていたものの、中国のロックダウン解除などに合わせて6月には4カ月ぶりにプラスへ転じ、月を追うごとに回復ペースが高まっている。その結果、8社合計の2022年度上期の世界生産は、前年同期比8.2%増の1176万1838台と2年連続で前年実績を上回った。

 ただ、コロナ禍前の2019年度上期との比較では14.9%減と本格回復には程遠く、依然として半導体不足や部品供給網の混乱などが響いているのが実情だ。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

 2022年度上期の世界生産は、ホンダのみが前年実績を下回った。このうち国内生産は、トヨタ自動車とダイハツ工業が前年割れとなった一方で、日産自動車、スズキ、SUBARU(スバル)は2桁%増となるなど、メーカーによって温度差が出た。8社合計では前年同期比3.4%増の349万4421台と2年連続のプラスだった。

 国内以上に回復が顕著だったのが海外生産だ。ホンダと日産は前年割れとなったが、トヨタ、スズキ、ダイハツ、スバルが2桁%増で、特にスズキは3割増、ダイハツは4割増とアジア地域での回復がけん引。その結果、海外生産の8社合計は前年同期比10.4%増の826万7417台と2年連続で前年実績を上回った。

2022年4月〜9月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 1,287,462 3,194,138 949,220 956,217 4,481,600
▲ 7.7 19.0 3.7 27.2 9.8
ホンダ 286,025 1,570,963 586,465 694,115 1,856,988
5.5 ▲ 8.0 ▲ 10.1 ▲ 7.8 ▲ 6.1
日産 255,576 1,362,294 453,243 562,845 1,617,870
18.2 ▲ 1.0 5.8 ▲ 7.7 1.6
スズキ 450,688 1,154,841 1,605,529
17.3 29.7 25.9
ダイハツ 387,741 396,474 784,215
▲ 1.1 42.9 17.2
マツダ 336,544 166,329 85,846 40,313 502,873
8.0 8.0 40.2 ▲ 46.0 8.0
三菱 207,618 279,724 17,625 487,342
6.2 3.2 ▲ 30.7 4.5
スバル 282,767 142,654 142,654 425,421
29.9 15.0 15.0 24.5
合計 3,494,421 8,267,417 2,217,428 2,271,115 11,761,838
3.4 10.4 1.6 2.6 8.2
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

 足元でも回復傾向が続いている。9月単月の8社合計の世界生産は、前年同月比46.4%増の228万3576台と4カ月連続のプラスだった。これは半導体不足や東南アジアのロックダウンで大幅減を余儀なくされた前年9月の反動に加えて、2022年6月から中国でのロックダウンが順次解除されたことが主な理由だ。コロナ禍前の2019年9月との比較でも3.8%減と同水準まで回復している。

 けん引したのが国内生産で、同79.3%増の71万3626台と大幅に増加し2カ月連続で増加した。トヨタが倍増、ダイハツやスバルに至っては3倍近い伸びを示した。海外生産も同35.2%増の156万9950台と回復しており、5カ月連続のプラス。北米が同52.3%増と好調で、東南アジアも回復が続いている。中国も同11.0%増と増加したが、メーカーによって明暗が分かれた。

2022年9月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 275,605 612,128 173,962 176,759 887,733
101.5 62.9 76.3 87.0 73.2
ホンダ 49,524 293,122 117,957 122,310 342,646
66.5 ▲ 2.7 36.7 ▲ 27.8 3.5
日産 54,843 256,919 83,589 111,610 311,762
46.7 14.9 24.7 15.8 19.4
スズキ 90,683 205,863 296,546
49.7 90.4 75.8
ダイハツ 82,682 80,988 163,670
183.4 36.0 84.5
マツダ 67,064 34,301 19,116 6,481 101,365
58.5 20.2 94.5 ▲ 61.4 43.1
三菱 47,433 59,238 5,622 106,671
1.8 20.6 44.4 11.4
スバル 45,792 27,391 27,391 73,183
195.3 80.7 80.7 138.7
合計 713,626 1,569,950 422,015 422,782 2,283,576
79.3 35.2 52.3 11.0 46.4
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタの2022年度上期のグローバル生産台数は前年同期比9.8%増の448万1600台と2年連続で前年実績を上回った。要因は海外生産で、同19.0%増の319万4138台と2年連続のプラスとなり、年度上期としても過去最高を更新した。前年が東南アジアでの新型コロナウイルスの感染拡大により世界的に部品供給が滞った反動が表れた。

 地域別では、中国は5月ごろまで上海のロックダウンの影響があったものの、その後の挽回生産や能力増強、生産最適化などが奏功し、同27.2%増と2年ぶりのプラス。中国生産を行う5社では唯一のプラスだった。東南アジアも前年のロックダウンの反動により、主要拠点のタイが同35.5%増、インドネシアが同45.7%増、マレーシアが同129.3%増、インドが同85.1%増と、軒並み高い伸びを見せた。その結果、アジアトータルでも同30.5%増と2年連続で増加した。主力の北米も部品供給不足の影響があったものの、同3.72%増と2年連続のプラスだった。欧州や中南米も同様に2年連続でプラスを確保した。

 一方、国内生産は前年同期比7.7%減の128万7462台と2年ぶりに前年実績を下回った。海外以上に半導体など部品供給不足の影響が大きく、特にレクサスなど高価格帯のモデルでの減産が目立った。このため、国内販売ではモデルサイクルや納期などの関係から受注を停止する車種が増加し、新車ディーラーでは販売可能な車種が限られるという事態に及ぶなど、納期の長期化による事業への影響が深刻化している。

 厳しい状況は徐々に改善の気配も見せている。9月単月のグローバル生産は前年同月比73.2%増の88万7733台と2カ月連続で前年実績を上回るとともに、9月として過去最高を更新した。中でも国内生産は同101.5%増の27万5605台と倍増し、2カ月連続のプラス。ただ、これは前年9月が東南アジアのロックダウンによる部品供給不足で国内全工場で稼働停止を余儀なくされた反動によるもので、前年9月は前年比半減の実績であり、2020年9月との比較では約1割減という実績にとどまっている。

 トヨタでは依然として一部工場の稼働停止が続いており、2022年度通期の世界生産計画も当初計画の970万台から920万台へ下方修正するなど、半導体など部品供給不足が長引いている状況だ。

 国内より回復が進んでいるのが海外生産だ。9月は前年同月比62.9%増の61万2128台と5カ月連続で増加し、9月として過去最高を更新した。主力の北米は、前年の低迷に加えて、能力増強や生産最適化より同76.3%増と伸長し、2カ月連続のプラスだった。中国も同様に前年の反動や生産能力の向上により同87.0%増と5カ月連続で増加し、中国で生産する5社中最大の伸びとなった。アジアも前年の反動によりインドネシアやインド、ベトナムなどが大きく伸び、アジアトータルでは同58.1%増となった。欧州も「ヤリス」の好調などにより同75.6%増と大幅増だった。

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