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日系乗用車メーカーの2022年度上期の生産、回復が軌道に自動車メーカー生産動向(2/3 ページ)

自動車生産が回復している。日系乗用車メーカー8社合計の2022年度上期(4〜9月)の世界生産を見ると、5月まで前年実績割れが続いていたものの、中国のロックダウン解除などに合わせて6月には4カ月ぶりにプラスへ転じ、月を追うごとに回復ペースが高まっている。その結果、8社合計の2022年度上期の世界生産は、前年同期比8.2%増の1176万1838台と2年連続で前年実績を上回った。

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ダイハツ工業

 トヨタグループのダイハツも同様の傾向を示した。2022年度上期のグローバル生産は、前年同期比17.2%増の78万4215台と2年連続で前年実績を上回った。けん引したのが海外生産で、同42.9%増の39万6474台と2年連続のプラスとなり、

上期として過去最高を記録した。新型車効果や前年のロックダウンに対する反動で、インドネシアが同16.8%増、マレーシアは政府の減免税政策よる需要拡大もあり、同3倍超と高い伸びを見せた。

 国内生産は、前年同期比1.1%減の38万7741台と3年連続で減少した。軽自動車は同4.3%増だったが、登録車が振るわなかった。中国でのロックダウンによる部品供給が滞ったことで相次ぐ稼働停止を余儀なくされた。特に5月は前年比半減以下と厳しい状況となった。

 前年の反動もあり、足元では回復傾向が鮮明となっている。9月単月の国内生産は前年同月比183.4%増の8万2682台と3倍近くまで伸び、2カ月連続のプラス。これは、前年9月がベトナムとマレーシアからの部品供給が滞ったことで大規模な生産停止に追い込まれ、本社工場、滋賀工場、京都工場、ダイハツ九州で稼働を停止したため。中でも「トール」とトヨタ向けにOEM供給する販売好調な「ルーミー」などを生産する本社工場は全稼働日で生産を停止したため、登録車は同10倍超を記録した。

 海外生産も好調で、前年同月比36.0%増の8万988台と14カ月連続のプラス。この数字はダイハツの1カ月間の海外生産の台数として過去最高となる。インドネシア、マレーシアともに好調が続いている。国内・海外の高い伸びにより、世界生産も同84.5%増の16万3670台と4カ月連続で増加するとともに、9月として過去最高を更新した。

ホンダ

 2022年度上期で唯一前年割れとなったのがホンダだ。2022年上期のグローバル生産は、前年同期比6.1%減の185万6988台と3年連続で前年実績を下回った。厳しかったのが海外生産で、同8.0%減の157万963台と4年連続のマイナスだった。

 最大市場の中国は、上海のロックダウンの影響で4月が同8割減と大きく落ち込んだこともあり、同7.8%減と2年連続で減少。東南アジアは回復したものの、中国の低迷をカバーするまでには至らず、アジアトータルでも同1.4%減と4年連続のマイナスだった。中国と並ぶ主力市場の北米も、前年の挽回生産の反動の他、半導体不足などサプライチェーンの混乱により7月までマイナスが続き、同10.1%減と北米に工場を構える5社で唯一のマイナスとなり、2年ぶりに前年実績を下回った。

 国内生産は、前年同期比5.5%増の28万6025台と3年連続のプラスだった。半導体など部品供給不足の影響により月ごとの稼働率のバラつきが大きかったものの、上期トータルではプラスを確保した。国内最量販車種の「N-BOX」は減産影響を受けながらも、2022年度上期の国内販売ランキングでトヨタ「ヤリス」を抑え2年ぶりの首位となるなど底堅い人気を示した。ただ、依然として半導体不足の影響は続いており、2021年10月から受注を停止している「ヴェゼル」のハイブリッド車の上級グレード「PLaY」は2022年8月に期間限定の受注再開にとどまっている。新型SUV「ZR-V」も既存モデルの納期優先の措置として発売を今秋から来春へ延期した。

 足元の生産も不安定な状況が続く。9月単月の世界生産は、前年同月比3.5%増の34万2646台と4カ月連続でプラスを確保したが、前年の反動により大幅増が相次いでいる中、8社では唯一の1桁%の伸びにとどまった。国内生産は同66.5%増の4万9524台と好調で2カ月連続で増加した。その一方で、海外生産は8社唯一のマイナスとなり、同2.7%減の29万3122台と4カ月ぶりに減少した。北米は同36.7%増と2カ月連続で増加したが、中国が同27.8%減と低迷し、4カ月ぶりのマイナス。これを受けてアジアトータルも同16.7%減と4カ月ぶりに減少した。

日産自動車

 日産自動車の2022年度上期のグローバル生産台数は、前年同期比1.6%増の161万7870台と2年連続で前年実績を上回った。トヨタ、ホンダに次ぐ3位を保ったが、4位のスズキとの台数差は約1万2000台とわずかな差だった。国内生産は、同18.2%増の25万5576台で2年連続のプラス。国内向けおよび輸出向け「エクストレイル/ローグ」など新型車が貢献したが、半導体不足の影響は大きく、コロナ禍前の2019年度上期との比較では35%減と本格回復には程遠い状況だ。

 海外生産は前年同期比1.0%減の136万2294台で、2年ぶりの前年割れ。地域別では、「パスファインダー」「フロンティア」といった新型車を投入した米国は同41.2%増と大きく伸びた他、新型「キャシュカイ」を投入した英国は同51.8%増とプラスだった。その半面、メキシコが同21.1%減と低迷。ロックダウンの影響を受けた中国も同7.7%減と減少した。スペインのバルセロナ工場が2021年12月に生産を終了したことも海外生産減につながった。

 日産も足元の状況は徐々に回復傾向を示している。9月単月のグローバル生産は前年同月比19.4%増の31万1762台と3カ月連続で前年実績を上回った。このうち国内生産は、同46.7%増の5万4843台と5カ月連続のプラス。エクストレイル/ローグがけん引しており、輸出も同47.6%増と伸長した。海外生産も同14.9%増の25万6919台と3カ月連続のプラス。新型車効果により米国が同53.1%増、英国が同26.0%増、中国が同15.8%増と好調だったが、メキシコは同9.3%減だった。

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