ニュース
月周回有人拠点向けの宇宙用リチウムイオンバッテリーを受注:宇宙開発
三菱電機は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から、月周回有人拠点「Gateway」向けの宇宙用リチウムイオンバッテリーを受注した。次世代無人補給船「HTV-X」開発時に培った技術と信頼性が評価された。
三菱電機は2024年5月9日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から、月周回有人拠点「Gateway」向けの宇宙用リチウムイオンバッテリーを受注したと発表した。
米国主導の月面探査プログラム「アルテミス計画」では、日本によるGatewayの居住棟への機器提供に向けての協力を合意している。三菱電機が供給する宇宙用リチウムイオンバッテリーは、次世代無人補給船の「HTV-X」開発時に培った有人安全要求を満たす技術を基にしており、その技術と信頼性が評価され、今回の受注に至った。
同バッテリーは、ロケット打ち上げ環境を想定した構造および設計で、局所的な応力集中を緩和するシェルフレーム構造を採用。有人安全要求を満足する設計により、万が一の故障時に備えた保護機能を保有している。
また、必要な電力容量に応じてバッテリーの構成を変更できるようモジュール性を考慮した構造とすることで、拡張性を持たせている。バッテリーセルが開放故障した場合でも、充放電経路を確保してバッテリー機能を維持できるため、長期間の衛星運用が可能となる。
外形は623×245×359mmで、重量は61.4kg。設計寿命は15年以上となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 長期の有人月面探査向けに循環型再エネシステム、ホンダが2023年度末までに試作
ホンダは2023年1月19日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と研究開発契約を締結し、月面探査車両の居住スペースとシステムに電力を供給する「循環型再生エネルギーシステム」の試作機を2023年度末までに製作すると発表した。 - 世界最小の4周波数帯対応衛星測位アンテナ、地面反射のマルチパス波も抑制
三菱電機が4周波数帯に対応した「世界最小」(同社)の高精度衛星測位端末用アンテナを開発。従来品と同等サイズを維持しながら、高周波数帯の対応周波数帯域を従来比3倍に拡大することで、L1帯から少し外れた周波数帯を用いるロシアの「GLONASS」や英国の「INMARSAT」の測位補強サービスに対応した。 - 「Planet 6.0」に向けた民間主導の月面産業ビジョン、2021年内にロードマップも
月面産業ビジョン協議会は、将来の月面産業で国内企業が勝ち残るための方策として産業界の6つの「決意」と政府への7つの「提言」を中核とする「月面産業ビジョン:Planet 6.0」を策定するとともに、宇宙政策担当の内閣府特命担当大臣である井上信治氏に提出したと発表。2021年内をめどにロードマップを策定する方針だ。 - 月探査用宇宙船開発にも活用、NECの異常検知AIをロッキード・マーティンが採用
NECと米国のロッキード・マーティンは2021年3月2日、衛星・宇宙航空分野でのAI技術活用に関する2017年からの協業の成果として、宇宙船開発においてNECのAI技術「インバリアント分析技術」を本格導入することで合意した。NASAの月探査計画「Artemis(アルテミス)」向けにロッキード・マーティンが開発している有人宇宙船「Orion(オリオン)」などの開発で採用される予定だという。 - パナソニックが航空宇宙事業本部を発足!? 100年後は火星のくらしをアップデート
2019年4月、パナソニック社内に「航空宇宙事業本部」が発足した。現時点では、まだ社内の部活動に当たる有志組織にすぎないが、あまり航空宇宙関連のイメージの無いパナソニックの可能性を切り開くべく積極的な活動を進めている。 - リコー「THETA」が宇宙へ踏み出す、JAXAとの共同開発で実現
リコーとJAXA(宇宙航空研究開発機構)は2019年8月28日、宇宙空間を360度全方位に同時撮影できる小型全天球カメラを共同開発したと発表した。リコーが製造、販売する全天球カメラ「RICOH THETA(リコー・シータ)」をベースとして開発したもので、宇宙空間で用いる全天球カメラとして世界最小を実現したという。