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パナソニックが航空宇宙事業本部を発足!? 100年後は火星のくらしをアップデート宇宙開発(1/3 ページ)

2019年4月、パナソニック社内に「航空宇宙事業本部」が発足した。現時点では、まだ社内の部活動に当たる有志組織にすぎないが、あまり航空宇宙関連のイメージの無いパナソニックの可能性を切り開くべく積極的な活動を進めている。

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 2018年10月に創業100周年を迎えたパナソニック。祖業である配電器具をはじめ、照明、テレビ、白物家電、住設、ノートPC、電子部品、車載機器、表面実装機など、さまざまな事業を7つのカンパニーで展開している。2018年度の連結業績で売上高8兆円に達する、日本を代表する電機メーカーの1つだ。

 2019年4月、そんな同社に新たな事業体が誕生した。その名も「航空宇宙事業本部」。さまざまな事業を展開するパナソニックだが、コネクティッドソリューションズ(CNS)社が手掛ける航空機内エンターテインメントシステムを除き、航空宇宙のイメージはほとんどない。

 それでは、新たに産声を上げた航空宇宙事業本部はどのような展開を進めようとしているのだろうか。2020年4月上旬、この航空宇宙事業本部のメンバーがオンライン取材に応じてくれたので、本稿では彼らの狙いを紹介したいと思う。

パナソニックの航空宇宙事業本部のメンバー
オンライン取材に応じたパナソニックの航空宇宙事業本部のメンバー。左から、出口隆啓氏、寺岡宏恵氏、宮島勇也氏、伊藤彰氏

宇宙機器の部品や材料でパナソニックの製品と技術が貢献できる

 さて、新たな事業体とは言ったものの、航空宇宙事業本部は社内の正式な組織ではない。いわゆる社内の部活動に当たる有志組織だ。しかし部活動とはいえ、「航空宇宙事業本部」と名付けた背景には、行く行くは正式な組織にしたいという意気込みがある。

 この航空宇宙事業本部の発起人となったのが、パナソニック インダストリアルソリューションズ(IS)社 電子材料事業部 電子材料グローバル営業総括部 機器マーケティング部 車載マーケティング課で主務を務める出口隆啓氏である。出口氏は「自身が担当するマーケティング活動を行う中で、パナソニックの製品は航空宇宙分野との関わりが大きくなる可能性が高いと感じていた。その一方で実際には、航空宇宙との関わりへの認識は社内外ともに低いのが実情。この状況を打破するために何かできないかと考えていた」と語る。

日本政府が発表した「宇宙産業ビジョン2030」
日本政府が発表した「宇宙産業ビジョン2030」 出典:内閣府

 また外的環境として、日本政府が2017年5月に掲げた「宇宙産業ビジョン2030」にあるように、従来の政府主導プロジェクトにとどまらない民間企業の参入によって国内宇宙産業の成長が見込める流れも生まれつつあった。「宇宙産業ビジョン2030では、2030年に2017年比で国内宇宙産業の市場規模を倍増することを目標に掲げている。しかし宇宙機器の部品や材料はほとんどが輸入に頼っている。そこにパナソニックの製品と技術が貢献できる余地があるのではないかと考えた」(出口氏)。

 製造業を中心に日本の産業力の低下が指摘されているが、今後の成長が見込まれる宇宙産業に注力することは日本の産業力を再び高めていく上で重要な意味を持つ。出口氏は「日本のプレゼンスを高めることに貢献したいという思いが強くある。パナソニックの経営理念にもある『産業報国』にもつながる」と強調する。

手弁当の組織から「航空宇宙事業本部」へ

 出口氏が社内で航空宇宙関連の活動を始めたのは2018年秋ごろのこと。最初は自身の知り合い2〜3人への声掛けから始めて、そこからの個人的なつながりでパナソニック社内で航空宇宙分野に使えそうな製品や技術などに当たりをつけて行った。この時点では、部活動でさえない手弁当のバーチャル組織「出口会(仮)」だったが、この水面下の活動を社内に公知するタイミングが2019年3月に到来する。既に出口会のメンバーになっていた、プロフェッショナルビジネスサポート部門 デジタルマーケティング推進室 マーケティング創出課 主務の寺岡宏恵氏の紹介で、社内Webピッチイベントに参加することになったのだ。

 ここで出口氏が思いのたけをぶつけてパナソニックが持つ航空宇宙分野での可能性を社内に訴えたところ、賛同者は数十人まで一気に増えた。現在の主要メンバーである、パナソニック IS社 モノづくり革新センター 生産システム開発部 要素工法開発課 主任技師の宮島勇也氏が参加したのもこのころだ。

 そして2019年4月、社内部活動の組織として航空宇宙事業本部が発足した。現在は、同本部のメーリングリストの参加者が200人以上になるなど、着実に活動の範囲を拡大させている。出口氏は「社内でも航空宇宙事業本部の活動は前向きに受け止めてもらっている。今後は、2020年度内を目標に、プロジェクトレベルでいいので正式な社内組織として立ち上げられるようにしたい」と述べる。

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