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パナソニックが航空宇宙事業本部を発足!? 100年後は火星のくらしをアップデート宇宙開発(2/3 ページ)

2019年4月、パナソニック社内に「航空宇宙事業本部」が発足した。現時点では、まだ社内の部活動に当たる有志組織にすぎないが、あまり航空宇宙関連のイメージの無いパナソニックの可能性を切り開くべく積極的な活動を進めている。

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意外と多い? パナソニックの宇宙関連採用実績

 では、パナソニックが航空宇宙事業を展開していくとして、どのような製品であれば展開できるのだろうか。まずは宇宙関連での採用実績を見ていこう。

 現在進行形で既に幾つかのプロジェクトと関わりがある。最新のプロジェクトとなるのが業務用光ディスク規格「アーカイバル・ディスク」の宇宙暴露実験だ。国際宇宙ステーション(ISS)を使って、宇宙空間という極地環境で光ディスクを約1年間暴露することにより、経年変化に耐えて記録データを読み取れるかを確認する。2020年8月に打ち上げ予定の米国SpaceXのロケットを使ってアーカイバル・ディスクをISSに送り込み、同年11月に暴露実験を始める計画だ。

「アーカイバル・ディスク」の宇宙暴露実験のWebサイト
「アーカイバル・ディスク」の宇宙暴露実験のWebサイト(クリックでWebサイトへ移動) 出典:パナソニック

 100年以上のデータ保存と耐久性を持つというアーカイバル・ディスクが、宇宙空間にも耐えられるのであれば、まさに宇宙開発に最適なストレージになることを証明できるといえるだろう。

 2019年12月には、ISSの日本実験棟「きぼう」にパナソニック製のハンディ掃除機が送り届けられている。市販の充電式ハンディ掃除機をベースに、きぼう内で行っている小動物飼育ミッションの排せつ物清掃を効率良く行うため専用に開発されたものだ。

「きぼう」に送り届けられたパナソニック製ハンディ掃除機
「きぼう」に送り届けられたパナソニック製ハンディ掃除機(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 また、現在地球への帰還の途に就いている小惑星探査機「はやぶさ2」では、正極にフッ化黒鉛、負極にリチウムを用いたBR系リチウムイオン一次電池が採用されている。小惑星の微粒子サンプルを収納し地球に送り届ける「再突入カプセル」の回収用ビーコン信号発信器、小惑星の内部物質を掘り起こすために人工クレーターを作成する衝突装置、衝突装置が人工クレーターを作る様子を撮影する分離カメラ、再突入カプセルの地球大気圏再突入時の飛行データ計測器という4つの装置の電源に用いられている。これは、初号機である「はやぶさ」の採用実績から続くものだ。

 これらより少し昔になるが、2008年11月にはISSの無人補給機「HTV(こうのとり)」へのパナソニック製LED照明の採用が発表されている。当時、宇宙機器内の照明で広く用いられていた宇宙専用の蛍光灯に替わるものとして開発され、実際に2011年2月打ち上げの2号機に搭載された。

 これらの他にも、衛星データの活用という観点では、2018年12月に発表した、家が受ける気象の脅威に関する項目の全国偏差値を水滴グラフで確認できる雨とい事業60周年記念サイト「Rain Power Graph」などもある※)

※)WebサイトのRain Power Graphは既に閉鎖されている

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