ニコンがバラ積みピッキングなどに対応する、産業用ロボットビジョンシステム:産業用ロボット
ニコンは、産業用ロボットビジョンシステムを発表した。カメラと制御PCで構成しており、ロボットアームにバラ積みピッキングやビジョントラッキングの機能を付与できる。
ニコンは2024年5月7日、産業用ロボットビジョンシステムを発表した。視野範囲の異なる、「NSP-150-1」「NSP-250-1」「NSP-500-1」の3機種を、2024年秋ごろに発売する。
センサー(カメラ)とエンジン(制御PC)で構成される同システムは、ロボットアームに搭載することで、ロボットに動体視力と頭脳の機能を提供する。独自の高速センシング技術により、高速性と優れた認識力を有するほか、扱いやすく、幅広い産業において省人化や生産性の向上に貢献する。
2Dおよび3Dカメラを組み合わせた独自のアルゴリズムを搭載し、バラ積みピッキングに対応する。対象物以外のワークを回避する経路を設定して、バラバラに積まれたワークを傷つけずにピッキングでき、把持位置が目標の位置とずれた場合も、ワークをつかんだ後に再計測し、ずれを補正しながら作業する。
視野内に認識できるワークがなくなると、ロボットアームを傾けて死角を減らす。また、初期計測位置でワークが見つからなかった場合は、ロボットが移動して撮影位置を変えたりするなど、ワークの取りきり率を向上する機能を備える。
2Dおよび3Dの撮像に対し、最大250フレームレートの高速計測ができる。ワークの計測からロボットが動き出すまで2秒以内と、高速のロボットアーム制御が可能だ。コンベヤー、AGV(無人搬送車)、AMR(自律搬送ロボット)などの搬送機器上を流れるワークを認識し、追従しながらワークのピックアップや組み付けをするビジョントラッキングにも対応する。
3機種ともに、センサー寸法は191×182×78mm、エンジン寸法は260×240×123mm。YASKAWA、FANUC、川崎重工業、Universal Robotsのロボットに対応する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “ニコンのロボット”を外販へ、アクチュエーターやカメラで独自技術を採用
ニコンは、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(東京ビッグサイト、2022年3月9〜12日)に出展し、独自のダブルエンコーダー構造を採用したインテリジェントアクチュエーターユニットと、認識用のスマートカメラ、治具としてピンセットを用いるハンドなどを組み合わせた独自のロボットシステムを紹介した。既にニコン内の工場では実用化しており、今後システム販売およびデバイスとしての販売の両面で検討を進めていくとしている。 - ニコンが補修用途向け金属3Dプリンタ発売へ、加工パスは3Dスキャナーで自動生成
ニコンは損傷や摩耗したワークの補修を主な目的としたDED方式の金属3Dプリンタ「Lasermeister LM300A」および3Dスキャナー「Lasermeister SB100」を発売することを発表した。 - 小型から大型部品まで多様な非破壊検査に対応、ニコンがVOXLSブランド初のCT装置
ニコンソリューションズは、大型部品の検査と測定が可能なCT装置「VOXLS 40 C 450」を発売した。X線とCT機能を用いて高精度な計測と内部形状の把握、欠陥の解析ができ、多様な非破壊検査に対応する。 - いまさら聞けない産業用ロボット入門〔前編〕
日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか? 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。 - 製造現場に広がる「画像」や「映像」の活用、何に生かすべきか
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第12回では、スマートファクトリー化を進める中で活用が広がっている「映像」「画像」の使いどころについて紹介します。 - マシンビジョンとは何か?
製造現場のプロセス自動化や品質向上に役立つマシンビジョンの基礎知識をお伝えする本連載。第1回は、マシンビジョンとは何かを解説するとともに利点について紹介する。