小型から大型部品まで多様な非破壊検査に対応、ニコンがVOXLSブランド初のCT装置:FAニュース
ニコンソリューションズは、大型部品の検査と測定が可能なCT装置「VOXLS 40 C 450」を発売した。X線とCT機能を用いて高精度な計測と内部形状の把握、欠陥の解析ができ、多様な非破壊検査に対応する。
ニコンソリューションズは2023年4月27日、大型部品の検査と測定が可能なCT装置「VOXLS 40 C 450」を発売した。X線、CT検査装置の統一ブランド「VOXLS(Volumetric X-ray Leading Solutions、ボクセル)」で初の製品となる。
VOXLS 40 C 450は、X線とCT機能を用いて、小型から大型部品まで高精度に計測し、内部形状の把握や欠陥の解析ができる。電子部品や自動車、宇宙航空部品など多様な非破壊検査に対応し、今後、需要が増加すると見込まれるEV(電気自動車)向けリチウムイオン電池モジュールの生産にも活用できる。
225kVおよび450kVのマイクロフォーカスX線源と、ラインセンサー(CLDA)、高解像度フラットパネルの検出器2種を搭載し、X線源と検出器との距離を調整可能な機構となっている。マイクロフォーカスX線源はニコンが独自開発したもので、反射型回転ターゲットを選択してターゲットを効率的に冷却できるため、高分解能と高出力による高速検査が可能だ。
装置のサイズは3617×2057×2743mm、重さは20t。最大積載重量は275kgで、最大撮像領域は直径800×高さ1415mmとなる(検出器のサイズによる)。2種の検出器は、FPDが撮像領域432×432mmで、CLDAは819mmだ(濃度分解能はどちらも16ビット)。
なお、VOXLS 40 C 450は、ニコンの米国子会社が全株式取得を予定しているAvonix Imagingと共同開発したものだ。日本をはじめとするアジア地域向け製品は仙台ニコンが生産する。
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