東芝が再興計画を発表、繰り返してきた計画未達の悪循環から抜け出せるのか:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
東芝が、2024〜2026年度の新規中期計画となる「東芝再興計画」を発表。同社の構造的課題の根本的な解決に向け、2024年度中に固定費の削減を中心とする損益分岐点の引き下げで収益力を強化し、2025〜2026年度に中長期的な成長に向けた道筋を付ける。
島田氏「次の100年に向けて新たに変身していく必要がある」
東芝再興計画の基盤となる収益力強化に必要なのが固定費の抜本的削減である。そのために、「早期退職制度並びに再就職支援」として人員最適化を実施する。50歳以上の国内のスタッフ部門や関連人員が主な対象となっており、期限は2024年11月、最大4000人を想定している。早期退職申し込み者には32カ月分の加算金が支払われ、再就職支援も最長2年間行うとしている。
また、コーポレート部門と事業部の協働体制を深めることを目的に、2025年度上期中に現在の浜松町本社(東京都港区)を、川崎駅前にある川崎本社(スマートコミュニティセンター、川崎市幸区)を中心とする川崎地区に移転、集約することを決めた。事業部を担う東芝エネルギーシステムズ、東芝インフラシステムズ、東芝デバイス&ストレージ、東芝デジタルソリューションズの4つの分社会社の他、研究開発部門も川崎地区に拠点を置いており、本社組織であるコーポレート部門のスリム化と川崎地区への拠点集約により、「現場に寄り添う本社」の実現を目指す。
島田氏は「2025年に150周年を迎える東芝は、次の100年に向けて、社会に求められる企業体へ新たに変身していく必要がある。東芝はこれまでにないものを生み出す技術のダイバーシティを有しているものの、内部硬直性と外部硬直性という2つ硬直性の壁があり、真の力を生かせていなかった。今回の本社移転によって内部硬直性を打破し、事業間の連携/相乗効果の実現を図る。また、外部パートナーとのパートナーリングにより外部硬直性の打破も進めていく」と語る。
【訂正】当初「2025年に100周年を迎える東芝」としておりましたが、正しくは150周年でした。本文は修正済みです。
デバイス事業は2026年度のROS10%達成のけん引役に
東芝再興計画では、4つの分社会社が担う各事業のポートフォリオ上の位置付けもあらためて規定した。まず、ROS10%達成を支える強化分野は、成長市場で市場ポジショニングが優位な成長事業、成熟市場で市場ポジショニングが優位な収益拡大事業から成り、発電システムや送変電/配電、公共インフラ、半導体、デジタルが代表的な製品/サービスとなる。一方、ROS5%以上を目標とする改善/課題分野は、低採算にある変革事業と、特定プロジェクトによる収益が悪化しているPJ損失対策事業があり、代表的な製品/サービスは鉄道/産業システム、リテール&プリンティング、昇降機/照明、HDDである。
2023年度時点で、これらの事業の全社平均のROSは約5%だが、エネルギー、デジタル、インフラは5%以上、ビル/リテール/電池、半導体とHDDから成るデバイスが5%を下回る状況にある。2026年度には、エネルギー、インフラのROSを10%前後、デジタルは10%超に高め、デバイスは10%を大きく上回るROSに反転させる。ビル/リテール/電池は5%超にROSを改善させて、全体平均としてROS10%の達成を目指すことになる。
なお、デバイスで10%を大きく上回るROSを達成する成算については「2022〜2023年度は市況悪化もあってROSが低下しているが、市況の回復と先行して行った設備投資の成果の刈り取りに加え、収益構造改革も進めることで実現する」(島田氏)という。
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