シャープが構造改革でディスプレイ含むデバイス事業大幅縮小、2期連続の巨額赤字で:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
シャープは、2023年度決算と中期経営方針について発表。構造改革として大型液晶ディスプレイの生産を2024年9月までに停止する他、カメラモジュール事業や半導体事業も将来的に売却する。
大型液晶ディスプレイの生産中止などデバイス事業を大幅縮小
構造改革の大きなポイントがデバイス事業へのテコ入れだ。堺ディスプレイデバイスの大型液晶ディスプレイの生産を2024年9月までに停止する。堺工場は、AI(人工知能)データセンターなど他の用途への転用を検討する。中小型ディスプレイ事業についても生産能力を縮小し、人員や設備の最適化を進める。他社との協業なども進めていく考えだ。さらに、エレクトロニックデバイス事業についてもカメラモジュール事業と半導体事業について、さらなる成長を目指し他社への譲渡を検討する。
「アセットライトを進める中で、将来的にはデバイス事業において生産は全て終息させる方針だ。技術を支援する形で進めることはあるかもしれない。先端技術に積極投資し、成長領域での新たな事業機会獲得を目指す。協業先については、鴻海精密工業と親和性の高い領域については協業を検討する」と呉氏は述べる。
鴻海精密工業は「3+3トランスフォーメーション」を掲げており「EV(電気自動車)」「デジタルヘルス」「ロボティクス」の3大未来領域と「AI」「半導体」「次世代通信」を3大コア技術に注力しており、これらの領域については、新たにシャープとの連携を進めるとしている。一方でこれらに当てはまらない領域については、売却や他グループとの連携を進めていく。
これらを進めつつ2024年度はとにかく黒字化を目指す考えだ。2024年度通期業績は、売上高が前年度比9.6%減の2兆1000億円、営業利益を100億円、経常利益を100億円、最終利益を50億円と予想する。呉氏は「2024年度は最優先で黒字化を達成する。そのために1つはディスプレイデバイス事業の赤字を減らすことがまず重要だ。大型パネルについては堺での生産を停止し、中小型パネルは複数拠点で生産する規模を縮小する。これらの規模縮小における減損の引当金は既に織り込んでおり、2024年度は大きなマイナス要因が新たに発生することはないと見ている」と述べている。
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