最高レベルの過充電検出精度を持つリチウムイオン電池用ハイサイド保護ICを発売:材料技術
日清紡マイクロデバイスは、1セルリチウムイオン電池用温度保護機能付きハイサイド保護IC「NB7120シリーズ」を発売する。
日清紡マイクロデバイスは2024年5月8日、1セルリチウムイオン電池用温度保護機能付きハイサイド保護IC「NB7120シリーズ」を発売すると発表した。サンプル単価は110円(1000個購入時の参考単価/税込み)、サンプル受注開始日は同日で、月産規模は1000万個。
1.50×1.08×0.38mmの小型パッケージを採用
1セルリチウムイオン電池を搭載するウェアラブル/ヒアラブル機器は、VR/AR(Virtual Reality/Augmented Reality)の普及などにより市場が拡大している。特に人が直接身に着ける機器に使用されるため、電池の発火などを防ぐ安全対策が重要になっている。
こういった状況を踏まえて開発されたNB7120シリーズは、ハイサイドNch MOSFET駆動タイプ(MOSFETを駆動するためのドライバ回路を1回路内蔵したIC)でシステム側と電池パック側のグラウンドレベルに差を生じさせないため通信が容易だ。
同タイプでは過充電検出精度(−20〜+60℃)および充放電過電流検出精度を業界トップレベル(同社調べ)にまで高めたことで、機器の安全性を高めている。また、内部回路を停止させることにより過放電検出後の消費電流を最小限に抑制し、製品販売前の在庫期間などでの電池の残量目減りを最小限に抑えられる。さらに、1.50×1.08×0.38mmの小型パッケージ「WLCSP-8-P15」を採用することで省スペースとしている。
なお、今回のICは、CTL(充放電制御信号入力)端子を使用することで過放電状態にすることなく強制的にスタンバイ状態にでき、充電器を接続するまでは大幅に消費電流を抑えられる。
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