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全固体電池を用いた系統用大容量高性能蓄電池システムの販売を開始:材料技術
QDPower、サンエス、ソリッドバッテリーは、広島県廿日市で「系統用大容量高性能蓄電池システム」の組み立て/製造を行う工場の操業を2024年7月から開始し、8月に同システムを発売すると発表した。
QDPower、サンエス、ソリッドバッテリーは2024年5月2日、広島県廿日市で「系統用大容量高性能蓄電池システム」の組み立て/製造を行う工場の操業を同年7月から開始し、8月に同システムを発売すると発表した。
3社が開発した大容量高性能蓄電池システムは、従来の蓄電池に比べ、低い内部抵抗により充放電のエネルギーロスを削減している他、引火性液体を含まないためほとんど発熱せず安全性が高いとする。いわゆる全固体電池を用いた蓄電池システムだ。
放電深度100%の充放電の繰り返しにも応じ、満充電容量減少率も20年間で20%以内と少なく、年間2回のメンテナンスにより20年間にわたり初期の定格容量に対して90%以上の性能を保てることをQDPowerは保証している。
同システムは−40℃の環境下での充放電にも対応するため寒冷地でも使える。なお、同社の調べによれば、今回のシステムは、現在最もシェアが高い系統用の蓄電池システムと比べて1MWh当たりのCO2の年間排出量を30%以上削減している。同社では同システムと大型モジュールを組み合せたセミオーダーメイドの蓄電池システムの提供も行う。
今後は、広島県を起点に、国内数カ所に同様の大容量高性能蓄電池システム組み立て製造拠点を設立し、各地域の新産業育成に貢献しながら、3年後には充電容量ベースで年間3GWhの製造供給体制の構築を目指す。
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