サステナブル素材の再生プラスチック国内市場、2035年に3594億円予測:製造マネジメントニュース
富士経済は、サステナブル素材として注目される再生プラスチックの国内市場を調査し、「2024年 循環型プラスチック・素材市場の新展望」を発表した。2035年の同市場は、2023年比2.1倍の3594億円を見込む。
富士経済は2024年4月12日、サステナブル素材として注目される再生プラスチックの国内市場を調査し、「2024年 循環型プラスチック・素材市場の新展望」を発表した。2035年の同市場は、2023年比2.1倍の3594億円を見込む。
同調査では、マテリアルリサイクル(MR)プラスチック5品目、ケミカルリサイクル(CR)プラスチック6品目、バイオマスプラスチック6品目の循環型プラスチック素材と、循環型合成ゴム2品目、循環型ナフサ2品目を対象とした。
調査の結果、2023年の国内再生プラスチック市場は1727億円で、その大半をMRプラスチックが占めた。日本政府による法整備や助成もあり、メーカーはサステナブル素材の開発を強化している。ユーザー企業も再生プラスチックやバイオマスプラスチックの採用を拡大しており、2035年には3594億円に拡大すると予測する。
1種類の廃プラスチックを原料とするMRプラスチックは、使用済み飲料用PETボトルをリサイクルするMR-PETが市場をけん引している。飲料メーカーは再生プラスチックの活用意欲が高く、今後も市場拡大が見込まれ、2035年は2941億円を予測する。
CRプラスチックは、現在はCR-PETが市場をけん引しているが、2025年前後にCR-PP・PE、CR-PMMAなどの供給がスタート。以降、市場が急拡大し、2035年には2023年比19.2倍になる見込みだ。
注目市場は、最もサステナブル素材へのシフトが進んでいるPETだ。既に使用済みPETボトルの回収、再利用システムが確立されており、飲料メーカーがサステナブルボトル化を積極的に進めている。MR-PET、CR-PET、バイオマスPETともに市場拡大が見込まれ、2035年には2023年比2.1倍の2467億円を予測する。
ほぼPETのみで構成される高品位品のMR-PETは、国内飲料メーカーが使用済み飲料用PETボトルの水平リサイクルを進めている。既に1000億円超の市場規模があるが、シートや繊維など広範な用途で需要が伸びている。
CR-PETは、MRでは原料にできない、非飲料用PETボトルや着色PETボトルなども原料として活用できる。これまでサーマルリカバリー(熱回収)されてきた中品位廃PET製品が原料として使用できるため、市場は今後、伸長するとみられる。
バイオマスPETは、原料の1つであるモノエチレングリコール(MEG)をバイオマス化したバイオPET30が量産化され、本格的に市場が立ち上がった。もう1つのテレフタル酸(TPA)も製造にめどが立ち、2024年にはバイオマス比率100%のPET市場の形成が見込まれる。
循環型合成ゴムについては、2023年時点で市場は僅少だが、2035年には80.2億円まで拡大が予測される。CR合成ゴムは、先に廃プラスチック由来のCRナフサを原料にした市場形成が想定されるが、回収量の多い廃タイヤを使ったCR合成ゴムの要素技術開発が進んでいる。バイオマス合成ゴムは、原料のバイオマスナフサの供給量が少なく、まずは小規模生産、高付加価値な特殊ゴム製品で採用が進むと予測している。
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