住友金属鉱山らがニッケルを40年超、年間3万t以上採掘可能なエリアの開発に参画:工場ニュース
住友金属鉱山と三菱商事は、オーストラリアの鉱山会社であるArdea Resourcesが同国で100%保有する「カルグーリー・ニッケル・プロジェクト」におけるグーンガリー・ハブの開発に新規参画すると発表した。
住友金属鉱山と三菱商事は2024年4月30日、オーストラリアの鉱山会社であるArdea Resourcesが同国で100%保有する「カルグーリー・ニッケル・プロジェクト」におけるグーンガリー・ハブの開発に新規参画すると発表した。
グーンガリー・ハブ開発の事業化調査(DFS)を目的に、住友金属鉱山と三菱商事が新設する合弁会社を通じ、Ardeaの子会社でグーンガリー・ハブの権益を保有するKalgoorlie Nickelに9850万豪ドル(約99億円)を拠出し、条件付きで同社株式を段階的に最大50%取得することについてArdeaと合意した。
西オーストラリア州に位置するグーンガリー・ハブは、世界最大規模のニッケル資源量を有するエリアであり、年間でニッケルは約3万トン(t)、コバルトは約2000tの採掘が40年以上にわたり行えると期待されている。
今回の対価である9850万豪ドルは、グーンガリー・ハブ事業化調査の予算額に相当し、同事業化調査の資金に充当される。
今後は、低品位ニッケル酸化鉱石からニッケルとコバルトを回収する技術である「HPA法(High Pressure Acid Leach、高圧硫酸浸出法)を世界に先駆けて商業ベースで実用化に成功(同社調べ)している住友金属鉱山の知見と、オーストラリアにおける鉱山事業の実績を有する三菱商事のノウハウを生かし、グーンガリー・ハブの事業性の検証を進める。
事業化調査は、2024年前半の開始、2025年後半の完了を見込んでおり、その後の開発に向けてArdea社との協議を重ねていく。なお、今回の事業化調査と新規参画については、経済産業省から「重要鉱物の供給確保計画」の認定(2023 重要鉱物第 2号-1)を受けている。
住友金属鉱山は、ニッケルに関して、鉱石から電池材料/化成品まで一貫したサプライチェーンを持つ。長期ビジョンのターゲットの1つとして「ニッケル生産量15万t/年」を掲げており、今後も重要鉱物であるニッケル鉱源の確保を進めていく。
三菱商事は、2022年5月に公表した「中期経営戦略 2024」で、ニッケル資源事業への投資を含むEX(エネルギートランスフォーメーション)関連投資を成長戦略の1つに掲げており、今回の投資はその一環として位置付けている。
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