ホンダは2024年4月16日、中国市場に投入するEV(電気自動車)の新シリーズ「Ye(イエシリーズ)」を発表した。同シリーズからは2027年までに中国で6機種が投入される。このうちの3台を「2024年北京モーターショー(第18回北京国際汽車展覧会、一般公開日:2024年4月29日〜5月4日)」で公開する。
ホンダは現在、中国で「e:Nシリーズ」を展開しており、Yeシリーズはe:Nシリーズに続くラインアップとなる。「明るく光り輝く」という意味の「Y(正式には簡体字、発音表記がye)」をシリーズ名に採用した。電動化に対する変化が速い中国において変革を加速させる意味を込めて、次世代EVで採用する新たなHマークも取り入れたという。
Yeシリーズは、次世代EVとしての価値をより高めることを追求し、人間のためのスペースを最大に、機械のためのスペースを最小限にするMM思想(マンマキシマム/メカミニマム思想)に基づく人中心のパッケージングとした。また、中国で新開発したEV専用プラットフォーム「アーキテクチャW」と、これまでに培った電動化技術によって操る喜びも追い求めた。乗員が快適に移動できるAI(人工知能)によるサポートも採用した。
Yeシリーズの第1弾となる「P7」「S7」は、軽快なすっきりしたハンドリングで、前後重量配分50:50の1モーターの後輪駆動モデルと、高出力で意のままに操ることができるハンドリングの2モーターの四輪駆動モデルを設定した。P7はシームレスで洗練された未来感を、S7は見る人に刺激を与えるエモーショナルさを表現した。両モデルは2024年末以降の販売を予定している。
第2弾の「GT CONCEPT」は、EVの象徴となるモデルを目指して開発されたというコンセプトだ。これをベースにした量産モデルは、2025年内に発売する予定だ。GTの名前に合わせたロー&ワイドのシルエットに、レーシングドライバーのように運転に没入できる空間とした。助手席には、従来のLCDディスプレイよりも奥行き感があり、大画面を見ているような体験ができるファーウェイ(華為技術)の遠焦点ディスプレイをホンダの四輪車としては初めて採用する。
新開発のEVプラットフォームは、3in1の高出力な駆動用モーターと、バッテリーを一体化したダイカストオールアルミニウムケースを搭載する。バッテリーの保護や冷却、車体剛性の向上、電源インタフェース機能の統合などを実施した。バッテリー部分と冷却部分を分けることで、衝突時の液漏れによるショートを防ぐ。
ホンダは中国で、2027年までにホンダブランドで10車種のEVを投入する予定だ。また、2035年までにEVの販売比率を100%にする目標だ。
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