フローで考える流れのモデリング(その2) 〜適用例と3D/1Dの関係〜:1Dモデリングの勘所(30)(1/5 ページ)
「1Dモデリング」に関する連載。連載第30回では「フローで考える流れのモデリング(その2)」と題し、流れのモデリングの適用例と応用例、そして3Dモデリングと1Dモデリングとの関係について取り上げる。
前回はフローで考える流れの理論と流路網解析について説明した。今回は、フローで考える流れのモデリングの具体例として“ポンプ配管系への適用例”と“水撃現象への応用例”を紹介する。続いて、流れの3Dモデリングと1Dモデリングとの関係について説明する。1Dモデリングの応用範囲の広さを感じ取っていただければと思う。
ポンプ配管系への適用:モデリング
ある重電機器で使用されているポンプ配管系を対象とする。図1に示すように、ポンプが2台あり、通常時は並列運転している。各ポンプの定格流量は2m3/s、定格揚程(定格圧力を水の比重量で割った値)は30mである。ポンプからの流れは個別の配管を通って合流し、主配管を流れ、再度分岐して各ポンプに戻る構成になっている。ポンプ前後の配管は内径0.7m、長さ7mで、主配管は内径1m、長さ20mである。
ポンプは、通常時は同じ回転数で並列運転しているが、状況に応じて(ポンプの個体差も含めて)2台のポンプの回転数が異なるアンバランス運転となる場合もある。また、1台のポンプが停止した場合、もう1台のみで運転するケースもある。このような状況でのポンプ/配管系の流れの挙動がどうなるかを明らかにする。
対象機器を図2に示した流路網モデルに置き換える。対象機器には容量要素が存在しないため、抵抗要素、慣性要素、ポンプ要素からなる流路網モデルとなる。
各ポンプの特性をp1(n1,q1)、p2(n2,q2)とする。ここでのn1、n2は各ポンプの回転数、q1、q2は流量である。主配管を流れる流量をqとすると、分岐点における流量の連続条件(電流則)から、
が成り立つ。
閉回路における圧力の閉合条件(電圧則)は、閉回路の取り方によりいくつか考えられるが(当然のことながらどれを取っても結果は同じである)、ここではポンプ1+主配管、ポンプ2+主配管を取ることにする。すると、次の2式が求まる。
未知数は流量のq、q1、q2の3つで、式も3式なので解くことができる。
一方、ポンプ2が停止した場合には、ポンプは圧力発生源ではなく単なる抵抗要素になるため、流路網は図3のように表現できる。
また、この場合のポンプ2+主配管に関する式は下式となる。
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