企業の雇用施策に関するレポート、2024年に「賃上げ予定」は73.9%:キャリアニュース
マイナビが、「企業の雇用施策に関するレポート 2024年版」を発表した。2023年に賃上げを実施した企業は78.2%で、2024年に「賃上げ予定」と回答した割合は73.9%だった。
マイナビは2024年3月28日、「企業の雇用施策に関するレポート(2024年版)」を発表した。同調査は、従業員3人以上の企業で2023年1〜12月に中途採用業務を担当し、採用費用の管理、運用に携わっている人事担当者を対象としたもので、1400人から有効回答を得た。
初めに、2023年に従業員に使ったリスキリングを含む教育訓練費を尋ねたところ、年間平均額は「344.5万円」だった。金額別に見ると、「1〜49万円」(45.5%)が最も多かった。業種別では、最も高かったのは「金融、保険、コンサルティング」の554.1万円で、最も低かったのは「医療、福祉、介護」の128.9万円だった。
2024年のリスキリングを含む教育訓練費の増減予定を尋ねたところ、全体の73.2%が「上げる予定」と回答。また、2023年に使った教育訓練費の金額が高い層ほど、「前年度より、10%以上の水準で上げる予定や検討がある」の回答割合が多いことが分かった。
続いて、従業員の賃上げ実績と今後の賃上げ予定を尋ねた。2023年に現従業員の賃上げ(賃金のベースアップ)を実施した企業は78.2%だった。そのうち「前年度より、10%以上の水準で上げた」企業は24.2%だった。
賃上げをした企業の業種別トップ3は、1位が「メーカー」(84.3%)、2位が「金融、保険、コンサルティング」(82.5%)、3位が「IT、通信、インターネット」(80.4%)。「前年度より、10%以上の水準で上げた」の回答が最も多かった業種は「環境、エネルギー」で、35.5%を占めた。
2024年の賃上げ予定は、「上げる予定や検討がある」が73.9%となった。そのうち「前年度より、10%以上の水準で上げる予定や検討がある」の回答割合は25.8%となっている。
人事業務でのAI利用は「肯定的」が約7割
人事業務でのAI(人工知能)利用についても尋ねた。中途採用担当者がAIを利用した人事業務は、人材の「管理」が最も多く、31.9%だった。次いで、「評価」の29.4%、「育成」の27.8%となった。
今後のAI利用については、利用経験の有無を問わず、「採用」「管理」「評価」「育成」の全ての項目で「肯定的」が7割程度を占めた。
2023年に採用した中途社員について、想定する在籍期間の平均は「約4年(47.5カ月)」だった。業種別に見ると、想定する在籍期間が最も長いのは「メーカー」で「4年9カ月(57.0カ月)」、最も短いのは「流通、小売、フードサービス」で「約2年6カ月(30.2カ月)」だった。
想定在籍期間の理由は、「3年未満」と想定する人事担当者からは「転職が当たり前の時代だから」「優秀な人材が多く、もっと良い会社に再転職されるのでは、という不安から」などのコメントが挙がった。また、「5年以上」と想定する人事担当者からは「5年以内には採用に掛けた労力を回収できるから」といったコメントがあった。
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