2023年度の転職市場動向は「GX人材ニーズの多様化」「人材要件の詳細化」:キャリアニュース(1/2 ページ)
リクルートは「2023年度 転職市場の動向」についての調査結果を発表した。GX人材へのニーズが多様化していること、求人の詳細化や明確化が人材採用に有効であることが分かった。
リクルートは2024年3月12日、「2023年度 転職市場の動向」についての調査結果を発表した。同調査は、転職支援サービス「リクルートエージェント」や同サービスの求人データを利用して転職した人、全国の担当業務2年以上の人事業務関与者を対象とした。有効回答数は5048人(人事業務関与者のみ公開)。なお、集計対象は従業員規模30人以上の企業に勤める2761人とした。
リクルートエージェントの求人数は2019年以降、新型コロナウイルス感染症が拡大した影響で一時的に落ち込んだ時期はあるものの、右肩上がりで推移している。採用ニーズが多いITエンジニアなど、求人はあらゆる職種で活発となっている。
旺盛な求人の背景として、既存事業の拡大、ビジネスやサービスモデルの変革、トランスフォーメーション(X)を目指す企業志向が挙げられる。DX(デジタルX)に続いて、SX(サステナビリティX)、GX(グリーンX)、HRM-X(人材マネジメントX) 関連での人材ニーズが増えている。
また、これまで「営業」「企画」「製造」など、1つのカテゴリーで募集されていた職種や業務について、より細かく分解する動きが広がっている。採用したい人材に求める専門知識やスキルだけでなく、変化適応力や人間関係構築力などのポータブルスキルも含めて、人材要件の詳細化、明確化が見られる。
GXは、環境に負荷の少ないエネルギーを活用し、CO2の排出量を減らしながら経済成長するための変革を差す。社会的な要請もあり、GX人材の獲得が急務と考える企業が増えていることから、多様な業界がGX人材を求めている。
GX領域の転職も活況で、製造業ではGX関連の技術者の求人が目立つが、転用できるスキルや知見を持つ異業界出身の人材も視野に入れている。IT、通信業界でも「GXコンサルタント」職のGX関連求人が出ており、メーカーで工場のエネルギーシミュレーション業務や経営企画に携わった人の転職例がある。
特にグローバル展開を進める企業では、環境や社会に配慮した事業展開をしているかを重視して「ESG投資」をする海外投資家の視線が厳しくなっていることもあり、GXを推進するための人材ニーズは高い。どの業界でも、サステナビリティ関連の非財務情報開示にあたるポジションの求人が多く見られる。
企業においては、GXに関わる人材をいかにして増やすかが喫緊の課題となっている。しかし、企業が求める知見やスキルを全て備える求職者は少なく、経験を軸にしたマッチングには限界があることから、コミュニケーション能力や創造力などの「ソフトスキル」にも目を向けていく必要がある。また、社内でもGXへの基礎的な理解を全従業員に広げることが重要になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.