CO2を原料としたバイオものづくりの推進に向け、フォーラムを設立:材料技術
製品評価技術基盤機構は、CO2を原料とした有用物質生産に使用する微生物とその関連情報を企業が先行利用できる連携の場「グリーンイノベーションフォーラム」を立ち上げた。
製品評価技術基盤機構(NITE)は2024年3月26日、CO2を原料とした有用物質生産に使用する微生物とその関連情報を企業が先行利用できる連携の場「グリーンイノベーションフォーラム(GIフォーラム)」の立ち上げを発表した。同年4月1日より、参加企業を募集する。
NITEは、東京大学、京都大学、茨城大学、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、国立遺伝学研究所、ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)、bitBiomeの7機関と共同で、コンソーシアムを結成。2023年4月に「CO2固定微生物利活用プラットフォームの構築」プロジェクトを開始している。
GIフォーラムは、このコンソーシアムに参加する7機関と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の協力を得て立ち上げた。フォーラムに参加した企業は、プロジェクトでコンソーシアムが取得したCO2を原料とする有用物質生産に寄与する微生物や関連情報を、一般公開前のプロジェクト期間中から先行利用できる。
また、CO2からのバイオものづくり技術に関する情報交換や技術指導などの機会も得られる。同時に参画企業は、コンソーシアムが構築するプラットフォームの拡充や利便性向上にも協力する。
日本では、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、これを達成するための産業政策を成長戦略としている。こうした状況の中で、NEDOに「グリーンイノベーション基金(GI基金)」が造成され、その一環として「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」事業が進められている。
同事業では、大気中などのCO2を原料に物質を生産するCO2固定微生物などを利用して、工業製品などの原料を生産するバイオものづくり技術を推進している。
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