石油化学プラントで排出するCO2から低級オレフィンを合成する技術を実証:脱炭素
IHIは、石油製品の製造工程で発生するCO2を原料にした、低級オレフィン合成技術の実証試験を開始する。タイのSCG Chemicalsが運営する石油化学プラントにCO2回収装置と低級オレフィン合成反応器を設置し、小型スケールでの実証に取り組む。
IHIは2023年7月4日、石油製品の製造工程で発生するCO2を原料にした、低級オレフィン合成技術の実証試験を開始すると発表した。タイのSCG Chemicals(SCGC)が運営する石油化学プラントに、CO2回収装置と低級オレフィン合成反応器を設置し、1日当たり100kgのCO2を注入する小型スケールでの実証に取り組む。実施期間は2024年〜2026年3月の予定だ。
低級オレフィンは、発砲スチロールやペットボトルといったプラスチック製品の原料となるエチレン、プロピレンなどの総称。既存設備のナフサクラッカーでは、原油を蒸留したナフサを熱分解してこれを製造する。
IHIは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/CO2を原料とした直接合成反応による低級オレフィン製造技術の研究開発」の委託先として、石油を用いない低級オレフィン製造プロセスの検証を進めてきた。
今回の実証事業により、SCGCのナフサクラッカーの排ガスから回収したCO2と他工程から発生する副生水素を用いて、低級オレフィンの合成技術の確立を目指す。また、この実証試験で得られた低級オレフィンと、既設プラントで製造した低級オレフィンの比較や互換性評価などを実施。商用化に向けたオレフィンの合成条件や、既設プラントとの統合条件を検討する。
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