水素エンジン搭載中型トラックがナンバー取得、2023年度内に実証:脱炭素
フラットフィールド、東京都市大学、トナミ運輸、北酸、早稲田大学アカデミックソリューションは水素エンジンを搭載した中型トラックを試作し、走行試験を開始した。
フラットフィールド、東京都市大学、トナミ運輸、北酸、早稲田大学アカデミックソリューションは2023年4月27日、水素エンジンを搭載した中型トラックを試作し、走行試験を開始したと発表した。
環境省の「水素内燃機関活用による重量車等脱炭素化実証事業」に採択され、2021年8月から共同で実施している「既販中型重量車の水素エンジン化事業性検証プロジェクト」の一環での取り組みだ。プロジェクトは量産商用車に水素エンジンを搭載し、商用車としての実用性の確保と環境性や経済性の評価を行うことを目的としている。
同排気量のディーゼルエンジンとそん色ない性能
試作車両は、300km以上の走行距離を確保するため16本の水素タンクを搭載する。また、ベース車両の7割の荷室容積を得られるレイアウトに設計し、構造等の変更検査に合格してナンバーも取得した。2023年度内に貨物輸送を対象とした実証実験を開始し、2026年の販売を目指す。
開発にはリケン、アネブル、マーレエンジンコンポーネンツジャパン、マーレエレクトリックドライブズジャパン、日本特殊陶業、エルリングクリンガーマルサン、IHI、ENEOS、大同メタル工業などが参加している。
荷物を積載した状態の水素エンジントラックで登坂路や高速道路を走行するため、水素エンジンの開発では低速トルクと最高出力の確保を重視した。ピストンやピストンリング、水素供給部品、カムシャフトの最適化により、同じ排気量の量産ディーゼルエンジンとそん色ない性能を得ることができたという。
水素エンジンは、ディーゼルエンジンに比べて出力の低さが課題となる。同プロジェクトでは2022年6月には既存のディーゼルエンジン並みの出力を達成し、実用化に向けた耐久試験を実施してきた。
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