ハーバーボッシュ法使わずにCO2フリーアンモニアを直接合成、IHIが共同開発へ:材料技術
IHIは、北海道大学、福岡大学、東京大学、金属電極専門メーカーのデノラ・ペルメレックと共同で開発している、水と窒素からCO2フリーのアンモニアを直接合成する技術がNEDOの公募プロジェクトに採択されたと発表した。
IHIは2022年5月16日、北海道大学、福岡大学、東京大学、金属電極専門メーカーのデノラ・ペルメレックと共同で開発している、水と窒素からCO2フリーのアンモニアを直接合成する技術がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の公募プロジェクトに採択されたと発表した。「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」の「エネルギー・環境新技術先導研究プログラム(エネ環)」の下で、2022〜2023年度の2年間研究開発を実施する計画。年間の支援金額は1億円以内となっている。
今回開発を目指すのは、再生可能エネルギー由来の電力(再エネ電力)を用いて水の電気分解で製造した水素と空気から分離した窒素によるアンモニア電解合成を1つのプロセスで実現する装置である。これにより、製造にCO2排出を伴わないグリーンアンモニアを効率的に製造できる。
これまでアンモニアの大量合成に用いられてきた製造技術であるハーバーボッシュ法は、原料に水素と窒素を用いる点では同じだが、水素が石炭や天然ガスなどの化石資源由来であるとともに高温高圧環境下で反応させる必要があり、環境負荷が高いことが課題になっていた。近年では、再エネ電力で水を電気分解して得られる水素を用いる手法も検討されているが、高コストであるとともに、再エネ電力における発電量の変動に合わせて水素の供給量が変わることが、大規模合成でスケールメリットを出す必要があるハーバーボッシュ法に適していないことなどが課題になっていた。
NEDOプロジェクトでは、再エネ電力の変動に対応しつつ、低コストかつ効率的な製造が可能なアンモニア電解合成装置の開発を目指す。IHIは、アンモニア電解合成装置の運転条件や性能を基に、アンモニア合成を行う際の機器構成やプロセス全体におけるアンモニア合成効率を検討し、プロセス側から見た電解装置の性能の仕様を検討する。北海道大学は窒素直接電解還元型アンモニア電解合成セルの開発、福岡大学は水素分離膜型アンモニア電解セルの開発、東京大学は電極触媒開発、デノラ・ペルメレックは電極触媒調整法と評価方法の研究を担当する。
2022年度の「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」は、2021年12月28日〜2022年2月16日の公募期間で108件の応募があり、23件の研究開発テーマが採択された。
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