住友電工が長時間の超硬合金加工を可能とする小径ボーリングバイトを発売:材料技術
住友電気工業は、超硬合金内径旋削用スミダイヤバインダレス小径ボーリングバイト「DABX型」を開発し、2024年5月から発売すると発表した。
住友電気工業(住友電工)は2024年4月8日、超硬合金内径旋削用スミダイヤバインダレス小径ボーリングバイト「DABX型」を開発し、同年5月から発売すると発表した。
近年、金型産業では、自動車の電動化に伴い小径ネジ/リベット用超硬金型の需要が高まっている。加えて、金型の加工効率アップと加工精度向上のために研削/放電加工から切削への工程変更のニーズが増えている。
これらのニーズに応えるため、同社は長時間の超硬合金加工を可能とするナノ多結晶ダイヤモンド「スミダイヤバインダレス」を刃先に適用し、Φ3mm、Φ4mmの内径加工を可能とする小径ボーリングバイトのDABX型を開発した。
スミダイヤバインダレスに使用されている粒径数十nmの微細なダイヤ粒子は高圧高温の環境下で生成されたナノ多結晶ダイヤモンドで、結合材なしに強固に直接結合している。このダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンドよりも高い硬度を持ちながら、単結晶ダイヤモンドの弱点であるへき開性がなく高い靭性を発揮する。従来の焼結ダイヤモンド(PCD)を超えた耐摩耗性を有し、超硬合金などの硬脆材の加工で優れた加工面品位と精度を長時間維持できる。
さらに、剛性の高いシャンク素材/形状によりΦ3mm、Φ4mmの小径内径旋削でも優れた加工面品位を実現する。種類としては小径ボーリングバイト(材種はNPD10)の6型番をラインアップする。NPD10とは100%ダイヤモンドでありながら、単結晶ダイヤモンドのような異方性がない高硬度なナノ多結晶ダイヤモンドを指す。
価格は標準品で6万4200円(税別)で、売上高の目標として初年度に年間2000万円、2026年度に年間3000万円を掲げている。
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