ウェアラブルカメラと自己位置推定技術で位置情報の一元管理化に成功:製造業IoT
ザクティとソフトバンクは、ウェアラブルカメラとクラウドVisual SLAM技術を活用した実証実験で、位置情報の一元管理化に成功した。ブレない高画質映像の配信と安定した測位が可能になる。
ザクティは2024年3月28日、ウェアラブルカメラとクラウドVisual SLAM技術を活用した、位置情報の一元管理化に成功したと発表した。ソフトバンクと共同で実施した「5G×クラウドVisual SLAMによる人やロボットの位置測位の活用検証」の成果だ。
Visual SLAMは、カメラの映像データを基に、自分の位置や姿勢、周辺の物体の位置情報を3次元で把握する自己位置推定技術だ。同技術のクラウド化により、ロボットや人にカメラを取り付けるだけで自己位置を推定できるため、警備ロボットやお掃除ロボット、AGV(無人搬送車)などの自律走行を可能にする技術として注目されている。
実証実験では、ザクティがウェアラブルカメラと、映像をクラウドVisual SLAMに伝送するカスタムアプリケーション、Web UIを開発し、ソフトバンクは5G通信およびMEC(Multi-access Edge Computing)環境、クラウドVisual SLAM技術を提供した。
これらを用いた検証により、ブレない高画質映像が配信でき、遅延も少なくなることを確認。また、リアルタイム処理が可能であること、安定した測位が可能であることも分かった。
ザクティの高画質ウェアラブルカメラは、小型軽量モデルの「CX-WL100」、ヘルメットなど頭部に装着する「CX-WE100」シリーズ、背面クリップで胸ポケットに装着できる「CX-WE300」シリーズなど、豊富なラインアップがある。
ザクティは、同社の映像技術を生かして、今後も社会課題を解決する映像DX(デジタルトランスフォーメーション)製品の開発に取り組む。
少子高齢化や労働力不足を解決するため、人とロボットの協働効率の向上が期待されている。しかし、これまでの技術では、ロボットごとに座標系が異なることや、人とロボットの共通座標系がないといった課題があり、位置情報の一元管理化は難しかった。
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