「製造業で使えるSLAM」を提供、データ処理の重さを軽減したスタートアップの技術:日本ものづくりワールド 2023
Kudanは「日本ものづくりワールド 2023」に出展し、SLAM技術を活用した製造業向けのソリューションを提案した。SLAMを軸に、AMRに搭載する自律走行ソリューションや、設備や資産を屋内外でシームレスに位置検知できるソリューションなどを展示した。
Kudanは「日本ものづくりワールド 2023」(2023年6月21〜23日、東京ビッグサイト)内の「第35回 設計・製造ソリューション展」に出展し、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を活用した製造業向けのソリューションを提案した。SLAMを軸に、AMR(自律搬送ロボット)に搭載する自律走行ソリューションや、設備や資産を屋内外でシームレスに位置検知できるソリューションなどを展示した。
商用を意識した技術開発
Kudanは同社が独自に開発した、カメラ画像による「Visual SLAM」や3D LiDARによる「3D-LiDAR SLAM」などのコア技術を、さまざまな機器やシステムに搭載可能な形で提供するスタートアップだ。
Kudanの技術的強みについて、同社担当者は「他企業が提供する、あるいはオープンソースで利用可能なSLAMのアルゴリズムは、データ処理の重さや精度などに課題がある。PoC(概念実証)では使えても、商業用途では使いづらいということは珍しくない。当社では最初から商用用途で技術開発を行っており、Visual SLAMでもデータ処理時間を他のアルゴリズムより大幅に短縮できるなどの特徴がある」と説明した。
3D-LiDAR SLAMの技術についても、取得した点群データの特定箇所のみを記憶するといった工夫で、状況次第ではあるが、「処理データ量を他のアルゴリズムの100分の1程度に圧縮することも可能」(同担当者)だという。これらの技術を、複数のパートナー企業の技術と組み合わせながら、利用しやすい形で提供する。
今回、Kudanは「AMR/ロボティクス自律走行ソリューション」「位置情報DXソリューション」「マッピングソリューション」の3種類を展示した。
AMR/ロボティクス自律走行ソリューションは工場や物流倉庫などで運用するAMRや各種ロボティクス向けに、カメラや3D LiDARを活用したSLAM技術を提供するものだ。現在、工場などでのAGV(無人搬送車)の活用事例が増えているが、主流となっているマーカーやライン、2D LiDARを使った走行方式では、建物内のレイアウト変化に対応しづらい、高さによっては検知しづらい障害物を見落としてしまう、といった課題がある。
これに対して、カメラや3D LiDARによるSLAM技術を搭載したロボットは、荷物や設備の移動といった環境変化に柔軟に対応できる。屋外で荷下ろしをしてから屋内に再び戻ってくるなど屋内外をまたいだ行動も可能だ。
位置情報DXソリューションは、これまでビーコンやBluetoothなどで行っていたフォークリフトなどの位置情報検知を、SLAMによる方法に置き換える。無線と異なり屋内外両方で使用可能となっている。フォークリフトの配置/経路の最適化や、人などの飛び出しへの対応や危険走行の検知もできる。
マッピングソリューションは移動させやすいタイプの3D測量機器を用いて、デジタルツインを従来より手軽に作成できるようにするものだ。「これまでは三脚などに計測機器を固定して測量を行っていた。しかし、この方式では測量が完了するまでに時間が多くかかる。機器自体も高価でコスト面でも難がある。当社ではパートナー企業の測量機器を活用することでこうした課題を解決できるようにした」(同担当者)。
同ソリューションで提供する測量機器はバックパックのようなイメージで、測量者が歩きながら計測できるようにする。測量し終わったエリアは手元のタブレットで確認できるため、「塗り絵のようなイメージ」(同担当者)で測量を進められる。KudanのSLAM技術を使うことで、測定した点群データを基に、差分比較による物の位置移動といった状態変化の確認や、完成したデジタルツインのデータ上に設備機器の3Dモデルを配置してレイアウト確認に活用するといった使い方を提案する。
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