物流施設向け自律移動ロボット、床面マーキングなしで自動搬送可能に:人工知能ニュース
LeapMindのディープラーニングモデルが、オカムラの自律移動ロボット「ORV(Okamura Robot Vehicle)」に採用された。ORVはかご車を自動認識してつかみ上げ、目的地まで搬送する。かご車の改造や床面のマーキングがなくとも搬送できる。
LeapMindは2023年1月26日、同社のディープラーニングモデルが、オカムラの自律移動ロボット「ORV(Okamura Robot Vehicle)」に採用されたと発表した。
同社では、物流分野の省人化や自動化に向けて、ORVの開発プロジェクトに早期から参画。ディープラーニングモデルをコンパクトにする技術やAI(人工知能)実用化へ向けた開発力が評価され、今回の採用が決定した。
オカムラのORVは、かご車を自動認識してつかみ上げ、目的地まで搬送する物流施設向けロボット。センサーで周囲の環境を把握し、周辺地図を作成して自己位置を推定するSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を搭載する。荷物をけん引しないため、搬送中の旋回やバック走行が可能で、狭い空間でもかご車を隙間なく整列配置できる。
ORVは、LeapMindのディープラーニング技術を人工知能エンジンとして採用したことで、人手で位置合わせしなくても、自動でかご車を把持して障害物を避けながら搬送可能になった。かご車の改造や床面のマーキングも必要ない。
物流現場では、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)によって荷物を搬送、移動する事例が増えてきている。しかし導入時には、床面に経路テープやマーキングなどで軌道を示す対策が必要となるほか、軌道上の障害物を認識して避けることができないという課題があった。さらに、かご車は重量が大きい上に移動頻度も多く、多くの現場で自動化が求められていた。
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