ニトリも採用した自動物流倉庫、さらなる自動化に向けオカムラがAGVを開発中:国際物流総合展2020
オカムラは、「国際物流総合展2020 -INNOVATION EXPO-」において、物流向けのロボット製品を展示した。
オカムラは、「国際物流総合展2020 -INNOVATION EXPO-」(2020年2月19〜21日、東京ビッグサイト)において、物流向けのロボット製品を展示した。
同社はノルウェーAutoStoreが開発したロボットストレージシステム「オートストア」を国内向けに展開している。既にグローバルで400件以上の導入実績があり、国内もニトリの物流センターへの採用をきっかけに数十件以上が導入されている。
オートストアの高さ数m以上にもなる物流倉庫の中は、格子状に組まれた「グリッド(Grid)」が張り巡らされており、各グリッドには専用コンテナである「ビン(Bin)」が高密度に格納されている。このグリッドの上面を何台ものロボットが走行しており、出庫するビンを吊り上げて、物流倉庫の外面に設置されている「ポート(Port)」に搬送する。作業者はポートから出庫したいビンを指定するだけでよく、その場で待っていれば自動で送り出されてくるという仕組みだ。
展示では、グリッド内の垂直方向にビンが数個格納できる小規模の構成でデモンストレーションを行った。また、より大容量の425mm深型ビンに対応する新型ロボット「BLACK LINE」も披露した。従来のロボット「RED LINE」の電源は鉛バッテリーで充電式だったが、BLACK LINEはリチウムイオン電池を採用するとともに交換式に変更している。このため24時間の稼働が可能になり、走行速度もRED LINEから33%向上の毎分240mを実現した。
オカムラは、このオートストアと連動するロボット製品の提案も行った。オートストアは倉庫とポートの間で入出庫が自動化されているが、ポートから先の搬送については人手で作業する必要がある。そこで、ポートからの搬送を自動化するために独自開発したAGVが「ORV(Okamura Robot Vehicle)」だ。SLAM(Simultaneous localization and mapping)技術とAI(人工知能)により、カゴ車を自動認識し、自ら走行経路を割り出して障害物を避けながら搬送を行う。現在開発中で商品化時期は非公開だ。
また、物流倉庫で自動化が最も難しいといわれているピッキングについても、米国のRightHand Roboticsとの提携による、機械学習の活用でマスター登録不要のピースピッキングソリューション「Right Pick2」を展示していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 物流の第4次産業革命「Logistics 4.0」とは何か
物流ビジネスへの注目が日増しに高まる中、新たなイノベーションによって、物流の第4次産業革命ともいえる「Logistics 4.0」が起きつつある。本連載では、Logistics 4.0の動向解説に加え、製造業などで生み出される新たな事業機会について紹介する。第1回は、Logistics 4.0までの物流におけるイノベーションの変遷を解説する。 - 物流崩壊から2年、ユニクロが全自動倉庫に取り組む理由(前編)
ユニクロなどを展開するファーストリテイリングとダイフクは2018年10月9日、戦略的グローバルパートナーシップを結んだことを発表した。全自動倉庫を含む物流の抜本的効率化に共同で取り組む。本稿では前後編に分け、ファーストリテイリンググループの物流改革の取り組みと全自動倉庫の全容について紹介する。 - 物流崩壊から2年、ユニクロが全自動倉庫に取り組む理由(後編)
ユニクロなどを展開するファーストリテイリングとダイフクは2018年10月9日、戦略的グローバルパートナーシップを結んだことを発表した。全自動倉庫を含む物流の抜本的効率化に共同で取り組む。後編では全自動倉庫の全容について紹介する。 - フォークリフトから倉庫全体へ、トヨタL&Fの描くスマート物流のCASE戦略
豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニーは2020年2月7日、都内でスマート物流戦略について発表するとともに、自動運転フォークリフトや無人搬送車のデモを行った。 - なんてできたヤツなんだ、自律的にも動けて人に付いていくこともできるAGV
豊田自動織機トヨタL&Fカンパニーは、「第3回スマート工場EXPO」において、誘導マーカーなどが不要で自律的な搬送が可能な無人搬送車(AGV)「AiRシリーズ」を参考出品した。 - 24時間稼働かつ高いパフォーマンス作業が可能なロボットストレージシステム
オカムラは、ロボットストレージシステム「AutoStore」の新シリーズ「Black Line」を発売した。24時間稼働、高いパフォーマンスや省力化が求められる倉庫や物流施設に適している。