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ハキム病の早期診断へ、脳脊髄液腔領域を抽出するAI技術を開発:医療機器ニュース
富士フイルムは、MRI画像から、くも膜下腔の不均衡分布に関係する脳脊髄液腔の各領域を抽出するAI技術を開発した。早期発見と早期治療が重要となる、ハキム病の診断精度向上が期待される。
富士フイルムは2024年3月18日、MRI画像から、くも膜下腔の不均衡分布(DESH)に関係する脳脊髄液腔の各領域を抽出するAI(人工知能)技術を開発したと発表した。名古屋市立大学との共同によるもので、ハキム病(特発性正常圧水頭症)の診断精度向上が期待される。
同AI技術は、富士フイルムのクラウド型AI技術開発支援サービス「SYNAPSE Creative Space(シナプス クリエイティブ スペース)」を活用して開発。頭部のMRI画像から、DESHに関係する脳脊髄液腔の高位円蓋部・正中のくも膜下腔、シルビウス裂・脳底槽、脳室を抽出する。
DESHは、脳萎縮とハキム病の判別に重要な画像所見とされている。これまでは医師の主観で評価してきたが、同AI技術では各領域の体積や領域間の体積比を算出することで、DESH判定をサポートする。
ハキム病は、脳脊髄液が脳を圧迫し、認知障害などの症状が現れる病気だ。脳脊髄液を排除することで症状が改善するため、治療により改善できる認知症といわれる。早期発見と早期治療が重要となるが、脳委縮との判別が難しいという課題があった。
同社は今後、同AI技術を搭載した製品の早期市場導入を目指すとしている。
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