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大型ドローンの航続距離向上に貢献、NSKがガスタービン発電機用軸受を開発ドローン

日本精工(NSK)はeVTOL(電動垂直離着陸機)向けガスタービン発電機用軸受を開発し、市場に投入したと発表した。

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 日本精工(NSK)は2024年3月22日、eVTOL(電動垂直離着陸機)向けガスタービン発電機用軸受を開発し、市場に投入したと発表した。


ガスタービン発電機における軸受配置[クリックで拡大]出所:エアロディベロップジャパン

 eVTOLは渋滞などの地上の交通インフラに影響されず、将来の新たな交通手段として開発が進んでいる。これまで完全電動式が主流だったが、さらなる航続距離や運搬能力の向上に向けて、ハイブリッド電動式の需要も高まっていくことが予想されている。その中でもガスタービン発電機はバイオ燃料や水素など多種燃料が使用可能であることから、環境対応の面からも最も現実的な推進機構として有力視されているという。

 ガスタービン発電機に搭載される軸受には、航続距離延長のための軽量化と高速回転性能(dmn値250万以上)が求められる。今回、NSKでは、高速回転軸受で一般的な潤滑機構であるジェット潤滑が持つ、潤滑油量が多くエネルギーロスが大きいという課題を、より高速回転領域で使用されるアンダーレース潤滑の給油方法を取り入れることで解消し、潤滑油量と動力損失の削減を実現した。


新しい潤滑機構の概要[クリックで拡大]出所:NSK 

 具体的には、ジェット潤滑は給油機構に互換性が高い部品を使用しており、軸受外部から高圧で多量の潤滑油を強制的に給油するため、潤滑油量が多量で動力損失が大きかった。今回は、NSKは新しい潤滑機構において、軸受内部に直接給油できる部品形状に改良することで少量を遠心力で給油、結果として高い汎用性と低コストを維持しながら、潤滑油量と動力損失の低減を実現。従来のジェット潤滑に対して、潤滑油量は4分の1に削減し、動力損失は3分の2に削減したという。NSKの試算では、35l(リットル)のジェット燃料を消費する1時間のフライトにおいて、3%の燃費向上などをもたらすとしている。


アンダーレース潤滑の構造[クリックで拡大]

ジェット潤滑の構造[クリックで拡大]

新しい潤滑機構の構造[クリックで拡大]

 既に開発品は福島県の「令和5年度 地域復興実用化開発等促進事業」の「80kWハイブリッド動力システム」搭載大型ドローン(ガスタービン発電機を搭載した高ペイロード緊急物資輸送用ドローン)のガスタービン発電機に採用され、2024年2月に納入されている。eVTOLの市場規模は2035年にグローバルで20兆円にのぼるという矢野経済研究所の予測もある。NSKでは2030年までに売り上げ10億円を目指している。


ガスタービン発電機を搭載した高ペイロード緊急物資輸送用ドローン[クリックで拡大]出所:エアロディベロップジャパン

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