レベル4飛行の“魔の11分”に安全を、ドローンポートの国際標準を策定:Japan Drone 2023
ブルーイノベーションは、「Japan Drone 2023」において、ドローンポート情報管理システム「BEPポート|VIS」を発表した。同社が規格策定を主導した物流用ドローンポートシステムの設備要件の国際標準であるISO 5491に準拠していることを最大の特徴とする。
ブルーイノベーションは2023年6月26日、「Japan Drone 2023」(2023年6月26〜28日、幕張メッセ)の出展ブースにおいて、ドローンポート情報管理システム「BEPポート|VIS」を発表した。同社が規格策定を主導した物流用ドローンポートシステムの設備要件の国際標準であるISO 5491に準拠していることを最大の特徴とする。同年8月1日から、UTM(運航管理システム)のサービスプロバイダー、ドローンポートおよびドローン機体メーカーなどに向けてβ版の提供を開始する。
同社は独自のデバイス統合プラットフォーム「BEP(Blue Earth Platform)」を展開している。今回発表したBEPポート|VISは、このBEPをベースに、ドローンポートやドローン、各種センサーなどの周辺機器について、メーカーや機種を問わず接続し、遠隔で統合管理/運用できるようにするシステムとなっている。
BEPポート|VISでは、ドローンポートを用いたドローンの離陸と着陸を自動化できるように、ISO 5491が定める施設要件に準拠するとともに、風況予測、運用管理、高精度着陸、第三者侵入検知などの機能を提供する。風況予測と第三者侵入検知の両機能については、必要となる気象センサーと障害物/侵入検知センサーも併せて利用できるようにする。
ブルーイノベーション 代表取締役社長CEOの熊田貴之氏は「2022年12月、ドローンの有人地帯での目視外飛行となるレベル4が解禁された。しかしこのレベル4になっても、離陸時の3分+着陸時の8分から成る“魔の11分”に事故の70%が集中するという問題は起こり得る。当社は、この魔の11分を含めたドローンの自動化に向けた課題を解決すべく、2017年からドローンポート運行管理システムの開発に取り組み、2019年からは国際標準化に向けたISOのチェアマンも務めてきた。2023年6月2日に規格が正式に発行したことを受けて、BEPポート|VISもリリースすることになった」と語る。
ブルーイノベーションは、ISO 5491の規格策定と併せて、IHIやトヨタ自動車、VFR、京セラなどともにドローンポートの実証実験を進めてきた。BEPポート|VISのリリースにより、ドローンのレベル4飛行に不可欠な構成要素となるドローンポートの実用化を進めていきたい考えだ。
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