トヨタ自動車がドローンポートを開発、ラストワンマイル物流の情報管理を視野に:Japan Drone 2022
トヨタ自動車は、「Japan Drone 2022」のブルーイノベーションの展示ブースにおいて、開発中のドローンポートを披露した。国内でのドローンの目視外飛行に関する法整備が完了する2023年以降をめどに、物流関連の実証実験などで運用を開始したい考えだ。
トヨタ自動車は、「Japan Drone 2022」(2021年6月21〜23日、幕張メッセ)のブルーイノベーションの展示ブースにおいて、開発中のドローンポートを披露した。国内でのドローンの目視外飛行に関する法整備完了後の2023年以降をめどに、物流関連の実証実験などで運用を開始したい考えだ。
開発中のドローンポートは外形寸法が縦1.8×横1.8mで、中央にQRコードが大きく印字されたドローンの着陸スペースが設けられている。着陸スペースの下側には、ドローンとの間で荷物の受け渡しを行う機構が組み込まれており、さらにこの荷物をドローンポートとUGV(無人走行車両)の間で受け渡しを行うことも想定されている。
自律飛行するドローンは、ドローンポートのQRコードを認識して着陸を行う。運用を想定するACSL製ドローンが自律飛行時の着陸に必要な1.5×1.5mのスペースを確保するとともに、着陸したドローンの充電や荷物の受け渡し場所への移動に用いる矯正機構も備えている。矯正機構は、縦方向の移動にボールねじ、横方向の移動にベルトを用いている。縦方向をボールねじにしたのは、荷物の受け渡しで高い位置決め精度を実現するためだ。
ドローンポートで受け渡し可能な荷物のサイズは250×180×170mmで、宅配便で一般的な60サイズ相当になる。ACSL製ドローンはペイロードの3kgに対して、重量2kgまでの搬送に対応する。また、このドローンポートは軽量かつ分割構造を採用しており可搬性にも優れる。一般的な2トントラックを使えば、余裕を持って移動させられるという。
トヨタ自動車がなぜドローンポートを開発するのか
トヨタ自動車がドローンポートを開発する狙いは、ドローンポートそのものというよりも、物流分野のMaaS(Mobility as a Service)における計画系の情報管理システムにある。今後ドローンやUGVなどが用いられるラストワンマイル物流では、ドローンの飛行以外の付帯作業を自動化することが求められている。そこでトヨタ自動車は、自動車分野での知見を生かした計画系の情報管理システムを提供し、ドローン運用の付帯作業の省人化に貢献したい考えだ。
協業パートナーのブルーイノベーションは、ドローンをはじめとするロボットの統合管理プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」を展開しており、このBEPがドローンやUGVの制御を行う実行系を担い、トヨタ自動車が計画系の情報管理システムを提供するという構成になる。「ドローンやUGVなどは既に市場に良い製品が多数あり、用途に合わせて活用すればいいが、ラストワンマイル物流のハブになるドローンポートについてはそういったものがない。そこで、実証実験に向けて開発しているのが今回のドローンポートになる。実用化については、実証実験の後で検討することになるだろう」(トヨタ自動車の説明員)という。
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