多様なトレッドパターンで耐久性や排水性を高めたオールシーズンタイヤ:材料技術
コンチネンタルタイヤ・ジャパンは、東京都内で記者会見を開き、同年2月15日に発売したオールシーズンタイヤ「AllSeasonContact 2(オールシーズン・コンタクト・ツー)」の製品特徴について発表した。
コンチネンタルタイヤ・ジャパンは2024年3月14日、東京都内で記者会見を開き、同年2月15日に発売したオールシーズンタイヤ「AllSeasonContact 2(オールシーズン・コンタクト・ツー)」の製品特徴について発表した。
5つのコンパウンド配合技術を採用
AllSeasonContact 2は、トレッドパターン(タイヤのトレッド部にデザインされた切り込みや溝)として、「オフセット・Vシェイプ・パターン」「オープン・ショルダー・グルーブ」「C字型ブロックパターン」「セルフ・レインフォース・リンク」を備えている。オフセット・Vシェイプ・パターンは、オープン・ショルダー・グルーブと組み合わさることで、迅速かつ効率的に排水し、耐ハイドロプレーニング性能とウェット路面での安全性を発揮する。
セルフ・レインフォース・リンクで連結されたC字型ブロック・パターンをタイヤのセンター部分に配置することでトレッドの剛性も高めている。これにより、使用開始からタイヤ寿命の終わりまで、優れたハンドリング性能を持続する。オフセット・Vシェイプ・パターンやC字型ブロックパターン、オープン・ショルダー・グルーブについては同社でアダプティブ・パターンと呼称している。
コンチネンタルタイヤ・ジャパン 技術サービス&トレーニングマネジャーの小川直人氏は「従来品のAllSeasonContactに搭載されているアダプティブ・パターンは、力の配分が最適化されておらず、トレッド接地面の後端にピークがある。一方、AllSeasonContact 2のアダプティブ・パターンは力の分散が最適化されており、トレッド接地面の後端にピークがない。これにより、摩耗を低減し寿命を長くしている他、ドライブレーキングを改善している」と話す。
加えて、エネルギー効率を向上させるためにタイヤのカーカスとインナーライナーにヒステリシス(過去と現在に加えられた力で生じる変形)が低い素材を採用している。これにより、エネルギー損失を減らし、転がり抵抗を向上。アダプティブ・パターンの採用でも力の伝達を最適化することで、タイヤの摩耗を低減して、寿命を延長している。
AllSeasonContact 2のラバーコンバウンドでは、グリップ性能を高める「ブラック・チリ」や耐摩耗性と堅牢性を向上する「イエロー・チリ」、ウェット/ドライ路面での安全性をアップする「レッド・チリ」、ウィンタ性能を高める「クール・チリ」、燃費効率を向上する「グリーン・チリ 2.0」といった5つのコンバウンド配合技術を組み合わせることで、さまざまな機能を高めている。このコンバウンドのブレンドは、春夏の気温条件下で高いグリップ力とブレーキ性能を、ドライ/ウェットの路面で発揮する。
さらに、減衰効果が高い新開発の可塑剤を採用することで、寒い冬の条件下でも高いグリップ力とコントロール性能を実現している。
これらの取り組みにより、従来品と比べ、転がり抵抗を6%、耐摩耗性を15%向上した。さらに、タイヤの特定の機能を評価する欧州の基準「EUタイヤラベル」において、ウェット・ブレーキ性能、転がり抵抗、静粛性で優れた性能を示す「B」グレードを取得している。
Bグレードの静粛性は日本自動車タイヤ協会(JATMA)のラベリング制度で低車外音タイヤに該当する。米国試験材料協会(ASTM)の規格で、厳しい寒冷地でも十分な冬性能を発揮することが認められたことを示す、スリーピークマウンテン・スノーフレークマークも取得している。
サイドウォールのデザインでは、製品名やブランドロゴ、スリーピークマウンテン・スノーフレークマーク、EVチェックマーク、プレミアム・デザイン、サイズ表記を採用した。ブランドロゴは、製品名とタイヤサイズの近くと2カ所に配置し、ロゴを認識しやすくしている。EVチェックマークは電気自動車(EV)との親和性が高いことを示す表示だ。プレミアムデザインでは1年を通して高いパフォーマンスを発揮するタイヤであることを四季のアイコンで表現。AllSeasonContact 2のサイズは15〜21インチ間のバリエーションが49種類用意されており、幅広いサイズの需要に対応している。
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