環境への取り組みを事業成長に、「省・小・精」技術を磨くセイコーエプソン:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
セイコーエプソンは、2025年度までの中期経営計画「Epson 25 Renewed」と、環境への取り組みである「環境ビジョン2050」の進捗について説明した。
CO2吸収技術の開発などさまざまな資源循環への取り組みも推進
資源循環についてもさまざまな取り組みを進めている。長期使用による商品の廃棄削減と、資源の有効利用を図るため、再整備プログラムとリファービッシュ品(認定整備済み製品)のラインアップ強化を進める。また、2023年8月には複合プラスチックの社会実装を加速するため東北大学と共創し「サスティナブル材料共創研究所」を設置した。
独自のドライファイバーテクノロジーで資源循環に貢献する乾式オフィス製紙機「PaperLab」の新ラインアップなども用意する。さらに、ドライファイバーテクノロジーを応用し、繊維再生の新技術開発を行うために2024年1月にThe Hong Kong Research Institute of Textiles and Apparel(香港繊維アパレル研究開発センター、以下 HKRITA)と共同開発契約を締結した。また、グループ会社であるエプソンアトミックスとの連携で、金属粉末製造技術により金属資源のグループでの循環利用を行う。そのために、エプソンアトミックスでは不要な金属を原料として資源化する金属精錬新工場の建設を開始。2025年6月の稼働開始を目指している。
さらに、2050年のカーボンマイナスに向け、自社のCO2残余排出量を相殺できるCO2除去技術の確立にも取り組む。エプソングループがインクジェットプリンタやLEDなどで培った薄膜技術を使いCO2を分離するCO2分離膜技術と、藻類を利用してCO2を固定化する技術の2つの技術の開発を進める。
環境への取り組みについて小川氏は「エプソングループの持つ省・小・精の技術を活用することでさまざまな環境に貢献できる。こうして開発した技術をさまざまな事業に反映することができ、事業成長にもつながる。自社の強みを生かせる領域として環境への投資を考えている」と語っている。
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