ニュース
リチウムイオン電池向け導電助剤用グラフェンメソスポンジの供給を開始:材料技術
3DCは、リチウムイオン電池の導電助剤用グラフェンメソスポンジの供給を開始した。独自構造により、従来の導電助剤よりも少ない量で、高電圧の正極やシリコン系負極の性能を強化できる。
3DCは2024年2月28日、リチウムイオン電池(LIB)の導電助剤用グラフェンメソスポンジ(GMS)の供給を開始したと発表した。
GMSは、炭素原子1つ分の厚みの中にスポンジ状の三次元構造を持つ炭素材料だ。導電性や化学的耐食性、カスタマイズ性に加え、ゴムのように弾性変形する柔軟性を有する。
同社のGMSは、独自の構造により、効率的に高い導電パスを形成できる。従来の導電助剤よりも少ない添加量で、高電圧、ハイレートの正極や、シリコン系負極の性能を強化できる。
LIBは、高容量化に向けてシリコン系負極材料の開発が進められているが、充放電時における負極材料の体積変化が電池を劣化させる要因となっている。同GMSを助剤として加えることで、体積の変動をGMSが柔軟に吸収し、LIBの耐久性を向上する。
東北大学発のスタートアップである同社は、蓄電および発電デバイス向けのGMSを開発している。LIB向けの導電助剤用GMSについては、2024年2月より国内外の一部メーカーを対象に出荷を開始した。今後、電池メーカーや自動車メーカーなどとの導入実証を経て、同年以降に市場への本格参入を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 爆発するリチウムイオン電池を見抜く検査装置を開発した神戸大・木村教授に聞く
製造したリチウムイオン電池が爆発するかを見抜ける検査装置「電流経路可視化装置」と「蓄電池非破壊電流密度分布映像化装置」を開発した木村建次郎氏に、両装置の開発背景や機能、導入実績、今後の展開などについて聞いた。 - リチウムイオン電池の基礎知識とリサイクルが必要なワケ
本連載では東北大学大学院 工学研究科附属 超臨界溶媒工学研究センターに属する研究グループが開発を進める「リチウムイオン電池リサイクル技術の水熱有機酸浸出プロセス」を紹介する。第1回ではリチウムイオン電池の基礎知識やリサイクルが必要な背景、当研究グループの取り組みの一部を取り上げる。 - リチウムイオン電池の爆発について考える、危険視される乗り物とは
神戸大学 数理データサイエンスセンター教授の木村建次郎氏に行ったインタビュー記事で紹介しきれなかった内容を取り上げています。不良品のリチウムイオン電池の危険性やリチウムイオン電池が搭載されるモノで今後安全性が心配される製品について触れています。 - リチウム電池爆発問題を解決する、日本発の検査技術への期待
日本発の新たな検査基準や標準化などに期待です。 - 国内PLM市場規模、2022年は市場が回復して2941億円に
矢野経済研究所は、2022年の国内PLM市場規模推移と予測に関する調査結果を発表した。2022年の同市場規模は、システムメーカー出荷金額ベースで前年比5.2%増の2940億5900万円となった。 - 長野パビリオンで県内中小企業の独自技術アピール、欧州市場開拓を支援
長野県産業振興機構は「ハノーバーメッセ(Hannover Messe)2023」に長野県パビリオンを設置し、県内の中小企業4社を出展した。