アイキューブメカトロニクスで“課題解決型”提案を加速、安川電機の2024年:FA インタビュー(3/3 ページ)
安川電機は市場環境の変化に対応した堅実な対応を進めながらも、新たなモノづくりコンセプトを実現するさまざまな製品やソリューションを次々に形にしている。2024年の見通しについて安川電機 代表取締役社長の小川昌寛氏に話を聞いた。
i3-Mechatronicsは社内外で成果を創出
MONOist 実際にi3-Mechatronicsはビジネス面での手応えも生まれてきていますか。
小川氏 手応えはある。安川電機内で顧客に向き合う姿勢が変わってきた一方、顧客の安川電機に対する期待も変わってきた。従来のように機器を販売するという関係性だけではなく、顧客の困りごとやB2Bとして顧客の先の企業が持つ課題を聞き出し、解決につなげていくような動きが出てきた。従来のモノ売りではどうしてもスペックや価格競争などに陥っていたが、課題解決を中心としたソリューション型のコト売りが中心となったことで、競合関係などの競争力のロジックを変えられつつある。顧客とのリレーションが変われば、さらに「顧客の要望に応じたモノの姿」にフィードバックできるようになり、製品としても新たな可能性が生まれる。良いサイクルを生み出すことができつつある。
MONOist 「YRM-Xコントローラ」や「YASKAWA Cockpit」「MOTOMAN NEXTシリーズ」「MPX1000シリーズ」などをリリースして、ソリューション提案を実現するためのハードウェア製品は出そろってきたと考えていますか。
小川氏 基本となるコンポーネントはそろえることができたと考えているが、これは始まりであって終わりではない。さらなるアップデート開発を進めていく必要がある。ソリューションとして実際に使われるようになれば、モノとしての新たな要望なども生まれてくる。新たな要望をさらに機能に落とし込む形で進化を進めていくつもりだ。
製品の価値も、製品内に全ての機能を組み込む形と、外部との連携で実現する形の2方向で高めていく。外との連携で協業などを通じてエコシステムを構築する動きを強化する。スタートアップやAI(人工知能)を含むソフトウェアベンダーなどと協業を進め、アプリケーションやシステムとしての総合的な価値を作り出せるようにする。現在の技術の進化はデジタル領域が大きく、あらゆるハードウェア機器もサイバーフィジカルシステム(CPS)を構成する機器としての機能や性能が求められている。
安川電機としては最高のハードウェアとしての品質や価値を追求しつつ、デジタル側の新たな技術を取り入れていく。そのため、ゲームソフトやクラウドなど、従来はリーチできていなかった新たな技術者の採用や、企業との協業を進めていく方針だ。
市場の再成長に合わせていかにアクセルを踏むか
MONOist 2024年はどのような年になると見ていますか。
小川氏 2024年度は中期経営計画の2年目となるが2025年度の最終年度に向けて重要な1年となる。市況感を見ると、半導体産業が全体的に大きく動き始めるのは、もう少し時間がかかると見ている。ただ、2024年後半には動き始めると予測する。懸念されている中国市場も2桁%レベルの成長はないかもしれないが、現状の水準以上にはなってくると予測している。その他、電気自動車(EV)関係や、環境関連など、凹凸はあるものの伸びる分野も出てくる。
まだら模様の状況の中で、伸びるタイミングを逃さずにアクセルを踏めるようにすることが重要だ。これらのタイミングをうまく捉えることができれば、計画通りの成果は残すことができると考えている。
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