アイキューブメカトロニクスで“課題解決型”提案を加速、安川電機の2024年:FA インタビュー(2/3 ページ)
安川電機は市場環境の変化に対応した堅実な対応を進めながらも、新たなモノづくりコンセプトを実現するさまざまな製品やソリューションを次々に形にしている。2024年の見通しについて安川電機 代表取締役社長の小川昌寛氏に話を聞いた。
米国での需要地生産体制を強化、日本はマザー工場として高度化へ
MONOist 需要地生産体制の強化も着々と進めていますね。
小川氏 生産体制の強化は欧州、中国でさまざまな形で整備を進めてきたが、現在は米国での取り組みを強化している。米国オハイオ州にロボットシステムの新工場建設を決定した他、各種体制の整備に取り組む。しばらくは米国を重点強化地域としてさまざまな投資を進めていくことになるだろう。
また一方で、日本のマザー工場の高度化についても引き続き強化していく。ロボットの新機械加工工場では、2024年3月の稼働開始に向けた試運転を実施している。モーションコントロールの入間事業所(埼玉県入間市)、ロボットの八幡西事業所(北九州市八幡西区)、システムエンジニアリング行橋事業所(福岡県行橋市)というように各事業でマザー工場の整備が進んできた。マザー工場では生産能力を重視するよりも、事業力強化につながるようなモノづくりの高度化を目指している。これらで得られた知見を製品力やソリューション提案力に生かしていく。また、マザー工場をショールームとし、これらの中で使っている安川電機のさまざまなコンポーネントやシステム提案の価値などを訴求していく方針だ。
MONOist 2017年に発表したi3-Mechatronicsの進捗についてはどのように捉えていますか。
小川氏 i3-Mechatronicsは「integrated(統合的、システム化)」「intelligent(知能的、インテリジェント化)」「innovative(革新的、技術革新による進化)」などを組み合わせたソリューションコンセプトで、現場の自動化やデジタル化、そこか生まれた現場データの活用とその価値化に向けた順番と考え方とソリューションとして提案していくというものだ。
これらを具体化するための「コト」としての提案や、顧客とのリレーション強化、インテグレーションの強化なども進めてきた。それと同時にここ数年、こうしたコンセプトを実行に移すために必要な製品の投入を進めており、ソリューションを実現する製品群がそろいつつある状況だ。
例えば、製造データの収集と解析を一括して行うソフトウェアツール「YASKAWA Cockpit」や、製造現場からのデータを高精度で集めリアルタイムで時系列同期し制御に反映できる「YRM-Xコントローラ」などの製品化を行ってきた。さらに、2023年11月にはi3-Mechatronicsのコンセプトをある程度のまとまりで具現化した新型ロボット「MOTOMAN NEXTシリーズ」を発表した。さらに、2024年1月にはi3-Mechatronicsを実現する新マシンコントローラ「MPX1000シリーズ」を発売している。
「MOTOMAN NEXTシリーズ」は、周辺の状況を認識し、判断しながら自らの動作を計画、実行し、支持された作業を完結することで、自律的に動作ができる産業用ロボットを目指したもので、キーソリューションになると考えている。まずはコンセプトを用意し、必要なハードウェアやソフトウェアを準備していく中で、ようやくこれらをまとめて「どういう価値が生み出せるか」というところを示したソリューションパッケージとして提案できる体制になってきた。
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