落としても自分で拾う、内蔵カメラを持つ新型協働ロボットが野菜をカゴ詰め:第8回 スマート工場EXPO
安川電機は「第8回 スマート工場EXPO」において、「MOTOMAN NEXTシリーズ」の協働ロボットを参考出展し、野菜のカゴ詰めデモンストレーションを披露した。
安川電機は「第8回 スマート工場EXPO」(2024年1月24〜26日、東京ビッグサイト)において、2023年12月から順次発売している「MOTOMAN NEXTシリーズ」の協働ロボットを用いた野菜のカゴ詰めデモンストレーションを披露した。
MOTOMAN NEXTシリーズは自律的な動作を可能とするための機能を備えた産業用ロボットだ。コントローラーにはロボット本体の制御機能に加えて、周囲状況の認識、判断処理およびセンサーから得られた周囲の位置情報を基に動作計画を立て、実行するために自律制御ユニットを搭載している。また、ユーザー、パートナーらとアプリケーションの開発を促進するため開発環境をオープンにしている。
今回、参考出展した「MOTOMAN NEXT-NHC12」は可搬重量12kgの協働ロボットで、2024年夏以降の投入を予定しているという。
NHC12の特徴の1つは、2軸目の部分にカメラを内蔵している点だ。RGBカメラとTOF(Time of flight)カメラの2つがあり、状況を常に把握することができる。
デモンストレーションでは大きさや状態が不ぞろいのジャガイモとニンジンを模したワークのピッキングおよびカゴ詰めを行った。ジャガイモもしくはニンジンをカゴからエアーで吸着してピッキングし、別のカゴにきれいにそろえて並べるというものだ。
並べる向きは順番に応じて事前にプログラムしてあるが、途中でカゴを入れ替えても上部のカメラでカゴの中の個数を認識し、それに応じて向きをそろえることができる。
最初、ニンジンやジャガイモはランダムに並べられており、位置は上部のカメラで認識する。NHC12はピッキングすると内蔵のカメラで状態を確認し、吸着位置が本来の位置からずれていると、カゴ詰めの際にずれを補正して並べる。また、ピッキングの途中で落としてしまった場合も内蔵カメラで認識して、上部のカメラで認識できる範囲に落ちていれば自ら取りに行くことができる。
今回、ハンド部分のカメラは鏡も使ったジャガイモの外観検査に用いている。傷や病害、虫害があったジャガイモは別のカゴに置く。また、製造業向けのAI機能開発を手掛けるエイアイキューブのソリューション「AlliomPicking」をピッキングに、同「AlliomVision」を外観検査に用いている。
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