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ロボットAI技術でポテトサラダを“おいしそう”に、安川電機AI子会社が開発2022国際ロボット展(1/2 ページ)

安川電機のAI(人工知能)関連子会社であるエイアイキューブは、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(リアル展、東京ビッグサイト、2022年3月9〜12日)の安川電機ブース内に出展。AIの学習を簡略化するシミュレーション技術「Alliom」と画像認識技術を組み合わせた「Alliom Vision」により、唐揚げやポテトサラダの色味や配置などを判断し“おいしそうに見える”ように配膳するデモを披露した。

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 安川電機のAI(人工知能)関連子会社であるエイアイキューブは、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(リアル展、東京ビッグサイト、2022年3月9〜12日)の安川電機ブース内に出展。AIの学習を簡略化するシミュレーション技術「Alliom」と画像認識技術を組み合わせた「Alliom Vision」により、唐揚げやポテトサラダの色味や配置などを判断し“おいしそうに見える”ように配膳するデモを披露した。

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エイアイキューブの唐揚げのばら積みピッキングデモの様子[クリックで拡大]

疑似データ作成技術で製造現場でのAI活用を拡大へ

 エイアイキューブは、2018年3月に設立されたFA向けのAI活用促進を目指す安川電機の子会社である。安川電機との関係を生かし、モノづくり現場に特化したAI活用を推進している。同社が開発し、核としているのがAI生成プロセス「Alliom」である。深層学習を含めたAI技術を活用するには、学習データが欠かせないが、製造現場ではそのデータを集めることが容易ではないことが多い。

 「Alliom」ではこうしたモノづくり現場ならではの課題を解消するために、学習用の素材を簡単に作成する「疑似データの作成技術」を核としている。例えば、ロボットによるバラ積みピッキングで活用する場合、扱いたい対象物1つの形状を3Dスキャンすれば、それを基にシミュレーター環境でバラ積みされた学習素材を作成できる。さらにこうして作成された画像を数枚〜100枚程度の実画像とAIで比較し、特徴点を近づけることで、実画像に近く学習効果の高い素材データを作成することができる。これを基にAIに学習させ把持位置を特定するモデルを構築することで精度の高い推論モデルが構築できる。

 エイアイキューブ 代表取締役社長の久保田由美恵氏は「シミュレーションを活用した学習プロセスを非常に短時間でできるという点が特徴だ。最短1日でモデル開発が可能で、例えば、夜に設定すれば翌朝にはモデルが構築できるため、AIモデルの構築に膨大な時間をかけることなく、現場での検証を進められる。ピッキング作業で把持位置でつかんではいけない箇所の指定なども行え、安定して現場で使用できるような機能を実現している」と述べている。

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「AlliomPicking」のシステム構成イメージ[クリックで拡大] 出所:エイアイキューブ

 エイアイキューブではこれらの技術をモノづくり現場のさまざまなところで活用できるようにソリューション化して展開している。先述したようなバラ積みピッキング作業に活用するための「AlliomPicking」に加え、2021年9月には画像センサーを活用し不良を検出するソリューションとして「AlliomVision」の展開を開始した。

AIで外観検査を容易に

 「AlliomVision」はAIにより少量の不良画像を使ってデジタル環境上で疑似的に大量の不良画像を自動生成し、この画像を学習に使用することで精度が高い不良検出AIを開発できるというものだ。

 実際に活用するには、まず現場から良品画像と少量の不良画像を取得する。これをAI開発用ソフトウェア「AlliomVision Studio」上で良品画像と少量の不良画像を活用し、デジタル環境上で疑似的にさまざまな不良画像を生成する。これは不良箇所を抽出し、良品画像上にさまざまな形でこの不良箇所の画像を張り付けることで疑似的にさまざまなパターンの不良を創出するものだ。こうして疑似的に生成した不良画像や実際の不良画像を用いて学習を行い、不良検出AIを生成する。こうして生成した不良検出AIの推論モデルを検査PC内に実装し、実際の検査工程に組み込んで運用する流れだ。

 「外観検査でAIを活用したいニーズは高いが、現場では不良が発生しないように改善活動などを進めており、AIを学習させるのに十分な不良データを集められないケースが多い。こうした課題を解決するためのソリューションだ」と久保田氏は語っている。

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「AlliomVision」のシステム構成イメージ[クリックで拡大] 出所:エイアイキューブ

 さらに今後は、2022年9月には故障予知を行うための「AlliomWave」をラインアップに加える予定だとしており、ソリューションの種類を増やしていく方針だ。久保田氏は「核となる技術的にも、物流現場のように流れてくるモノが特定できないような場面では活用は難しい。製造現場を基本として今後もソリューションを広げていく」と今後の方向性について述べている。

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